ロンドンから南に向かい、Downsと呼ばれる丘陵地帯の緑濃いなだらかな丘を眺めながらの心地よい2時間弱のドライブです。日本同様、暖冬のロンドンですが、高速道路から見える木々や丘も、ほんのりピンク色に霞んで、なんとなく春の予感を感じながら旅行が始まりました。
ゆっくり歩いても半日ほどで一回りしてしまうアランドールの町は、小さいながらも200年ほど前に建てられたというお城のある観光地。それなのに、観光のメインとも言えるお城は、3月末のイースター休暇の時期まで閉まっているとのこと。やれやれ、のんきというか、商売っ気がないというか。

冬の厳しいイギリスでは、こういう観光地は多かったそうですが、最近では温暖化の影響もあって、季節に関係なく旅行する人が増えたので、冬季も開けるところが増えてきたのだとか。観光するには便利ですが、のんびりしたイギリスを愛する私としては、個人的にはちょっとさびしい気もします。
200年前のお城というのは、イギリスでは古い方ではありませんが、このアランドール城は、塔の部分が子供の頃に絵本で見たような典型的なお城の形をしていて、とてもかわいらしいお城でした。お城のある高台から城壁に沿って町の中心(High Street)に通じているこの坂道の写真、自動車が写っていなかったら、タイムスリップしたような気持ちになりませんか?

High Streetの小さな広場では、土曜日の朝、手作りのパン、チーズ、パイ、ジャムなどが売られていて、地元の人や観光客が楽しそうに買い物していました。その広場にあるこのかわいらしい看板のお肉屋さん、創業は1760年ごろなのかな?(お店の内部が写っていなくて残念!でもお肉がぶら下がっていて、ちょっと怖かったデス)

最近では、地方の小さな町も、ロンドンにあるようなチェーン店が立ち並ぶようになり、どの町も同じに見えてつまらない、という批判もある中、このアランドールにはマクドナルドさえなく、観光客は昔ながらの喫茶店でモーニングコーヒーやアフタヌーンティーを楽しんでいました。
代わりに多かったのが、アンティークショップ。家具、ティーカップ、カメラのレンズ、宝石や装飾品など、あらゆるものが所狭しと並べられているお店がたくさんあって、どこも中年からお年寄りの観光客で大賑わいでした。といっても、実際に買っている人は少ないようでしたが。
比較的暖かいイギリス南部は、保養地や引退した人の住む場所として人気が高いようで、そういえば旅行中、家族連れを除けば、若い人はほとんど見かけませんでした。でも、それがまた、落ち着いた町の雰囲気を強調していたような気がします。
町の中心を流れるアラン川の川岸を散歩中、ちょっと気の早い水仙と梅の花を見かけました。本当に春はそこまで来ているんですね。
小さな古い町で過ごした静かな静かな週末でした。







