ロンドンに住むわが家は車をもうやめたので、どこに行くにも電車に乗ります。そういう訳で今回もいつものようにデヴォンのExeter St. David's駅まで電車に乗りました。
そうして降り立ったこの駅には、見逃してはならないものがあるのです。それが、これ!

本の自動販売機です。
自動販売機の多い日本に住む方にはそんなに珍しいものではないかもしれませんが、イギリスには自動販売機はわりと最近出てきたもの。
しかも本を売っているというのはとても珍しく、人目を引くのです。
この販売機のいわれは1934年に遡ります。
この販売機は昨年3月にペンギン・ブックスが設置したものです。
アレン・レーンという男性がデヴォンの友人を訪ねた時、この駅で読むものを買おうと思ったものの、あまり良いものがなく、しかも高価でした。
そこで、手軽に良い本が手に入ることを考えついたレーンさんは、翌年、ペーパーバック(日本でいう「文庫本」)の先駆けとなるペンギン・ブックスを立ち上げたのでした。
ちゃんと販売機の横にも説明がありました。
写真をX(前ツイッター)でシェアしたところ、レーンさんが訪ねた友人というのはアガサ・クリスティだったと教えてもらいました。
なんと!
そういえばクリスティはデヴォンの出身で、作品にはデヴォンがよく登場します。
著名になってからもトーキーという海辺の町の近くにグリーンウェイという別荘を持っていました。
そう知ると、クリスティファンのわたしとしては、この本の自動販売機がますます愛しく思えました。
本は時々入れ替えるらしく、去年とはまた違うラインナップになっていました。
日本で文庫化されて話題になっている『百年の孤独』(ガルシア・マルケス著)、注目のトルコ系作家エリフ・シャファク(邦訳はまだないようですが、ここにあるのは"Three Daghters of Eve")、日本では『オープン・ウォーター』が出て話題になったケイレブ・アズマー・ネルソンの次作"Small Worlds"、イギリスでも日本でも大人気のリチャード・オスマンの『木曜殺人クラブ』など、バラエティーに富んでいますね。
考えてみたら買ってみれば良かったのですが、なんだかあわただしくて写真を撮って満足してしまいました。
たぶんキャッシュレスで買えるはず。
デヴォンには今回訪ねた友人夫妻がいる限り、通うことになると思うので、次は何か買ってみようと思います。
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