10年前に今のフラット(集合住宅)に引っ越してから、人と知り合う機会が増えました。
小さいながらも一軒家だったときより、ご近所さんたちとの距離が近いのです、物理的にも、気持ちの上でも。
イギリス人のご近所さんに地元のことやこの国のことを教えてもらえるのもありがたいのですが、外国人が多いロンドンのことなので、世界各地からきた人たちと知り合いになれるのも楽しい。
さらにわたしの場合は、コロナ禍の前から家で仕事をしてフラットで過ごす時間が長かったせいか、すてきなおばあちゃんたちともずいぶん友だちになりました。
おばあちゃん子だったせいか、ついおばあちゃんに引き寄せられます。
今のフラットでも、おばあちゃんたちの昔話や今の暮らしのことを聞いているうちに、なんだかかわいがってもらえるようになって、今ではあちこちでお茶に呼んでもらったり、一緒に鉢植えの世話をしたりしています。
中でも特に親しいのはお隣の部屋に住むエバ。
わが家のバスルームを改装している間は合鍵で彼女の部屋に入ってトイレを借りていたし、毎週土曜には夫も一緒にフィッシュ&チップスを食べておしゃべりします。
エバのお嬢さんたちにも何度も会って、彼女たちよりずっと長くエバと過ごしているので、もはや身内の感覚です。
そんなある日、エバにお茶に誘われました。
「ポーリーンが今日持ってくるもの、あなた絶対に好きだから見た方がいいわよ!」と言うのです。
ポーリーンには、エバの家で何度か会ったことがありました。
コロナの前まで、エバの家を掃除しにきていたおばあちゃんで、今回聞いたところでは86歳。
84歳まで掃除の仕事をしていたって、すごくないですか?
掃除がめんどうと感じるわたしは、感激してしまって。
とにかく、ポーリーンが何か持ってくるというので行ってみると、ふたりがにこにこしながら見せてくれたのは、これでした。
愛らしいあみぐるみ。
ポーリーンの手編みだそうで、やさしい表情やきっちり揃った編み目にお人柄を感じました。
かわいいね、と言うと、「それだけじゃないの、ほら」と、これも見せてくれました。
あら、ふたつ作ったの?
そうではなく、これ、実はこうなっているのでした。
お人形の腰のところでつながって、ふたりがひとつになっているのでした。
なんて楽しい遊び心!
腕が上がっている感じも、まるで「ほら! 今度はわたしが出てきたよ!」と言っているようです。
トプシー・ターヴィー人形(topsy turvy doll)という名前を聞いて調べてみると、アメリカに起源があるようでした。
あみぐるみだけでなく、こういう作りの人形はすべてこう呼ぶようです。
ちなみにトプシー・ターヴィーは「さかさまの」「めちゃくちゃな」という意味です。
ポーリーンは若い頃から編み物が得意で、お孫さんができたあたりから、周りの子どもたちにあみぐるみを作り始めたそうです。
お人形を抱くお姉ちゃんや妹をうらやましそうに見ている男の子に、消防士のあみぐるみを作ったこともあるそうで。写真も見せてもらいました。
ポーリーン、やさしいな。
お人形から顔を上げると、エバが「ほら、好きだったでしょ」という顔でわたしを見ていました。
その通りでした。ふふふ。
2、3週間して、そのエバがまたやってきました(といっても、ドアからドアまで5歩の距離)。
「ポーリーンがこれ、あなたに見てほしいって。この前、かなり気に入ってたみたいだから」
そう言ってエバに手渡されたのは、あみぐるみの作り方が載った冊子と新聞の切り抜きでした。
ポーリーンは、ここに載っているものはほとんど作ったそうです。
そこには実物を見たトプシー・ターヴィー人形も、写真を見せてもらった消防士のあみぐるみも載っていました。
かなり古いようで破けたページもありましたが、ぜんぶ丁寧に揃えてはさみ込まれていました。
ポーリーンが編んだお人形の、きっちり揃った編み目を思い出しました。
こうして冊子をきちんと保管していて、それほど親しくもないわたしが好きそうだからと持ってきてくれるポーリーン。
やっぱりやさしいなあ。
これだからおばあちゃんたちとのお付き合いはやめられないのです。
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