秋の夜長に、『夜ふけに読みたい植物たちのグリム童話』

今日は、少し前に読んで今も心に残っている本をご紹介します。


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グリム童話って大人には懐かしい響きですよね。
誰でも何かしらは読んだことがあると思います。
少なくともストーリーは知っているものが多い。
その数あるグリム童話の中から、植物にまつわる物語を集めたのがこの本です。

童話は子ども向けのように思いますが、なんのなんの、大人が読んでもとても楽しかった!
もちろん物語自体はするりと読めてしまいますが、途中で懐かしさがこみ上げてきたり、ドイツの暮らしに思いをはせてみたりして、とても味わい深かったのです。
軽い気持ちで手に取ったのに、読み始めたら止まらなかったくらい。
帯にある通り、まさに「夜ふかし注意」です。

それにしても、「植物くくり」っておもしろいと思いませんか?
動物ならまだわかる気がするけれど(ちなみに本書の前に動物くくりの『夜ふけに読みたい動物たちのグリム童話』も出ています)。

植物なんてそんなに出てきたかなあと思いながら本を開くと、本当だ、なんてたくさんあったことか!
「ラプンツェル」「白雪姫」、それから「灰かぶり」というタイトルになっているシンデレラの物語など、懐かしい物語のどれにも植物が登場して、大切や役割を果たしていたのでした。
「ラプンツェル」ってそういう意味だったんだ!

美しい言葉の響きにどんなものかと憧れた亜麻、見たことがなく言葉でしか知らなかったハシバミ(今ではヘイゼルナッツだとわかりました)、キリスト教で大切にされるというバラなどなど、子どもの頃に「ヨーロッパらしい」とぼんやり感じていた植物が次々と現れました。
中にはキャベツなんていう意外な「植物」も。

グリム童話は知っていると思っていたけれど、考えてみたらわたしは本で読んだことがあったのかな。
テレビや映画で見ただけだったのか、それとも子ども向けの本はストーリーをはしょっていたのでしょうか。
本書を読んで自分の子ども時代を振り返ることになったのも、とても興味深い経験でした。

今回読んだ「灰かぶり」には彼女の悲しみもしっかり描かれていて、物語の印象が少し変わりました。
文字で読んだからかもしれませんが、悲しむ姿と結末の彼女に大きな開きがあって喜びも倍増。
そして後半のストーリーは、あれあれ、覚えている話と少し違うのです。
よく知っている子ども向けのストーリーは、魔法やハッピーエンドに大きく焦点を当てているのかもしれませんね。
大人になった今は、味わい深いこちらの方が好きになりました。

個人的には、美しいタイトルだけ覚えていてお話をすっかり忘れていた「ゆきしろとばらべに」に再会できたことがとても嬉しかったのです。
初めて「ゆきしろとばらべに」を読んだ小学校の図書館の風景を鮮やかに思い出したくらい。
記憶って不思議ですね。

よく言われるように、グリムの本当の話にはおそろしい描写もよく出てきます。
それをさらりと書いているのがさっぱりしていていいのか、それともその方が余計に怖いのか。
なんて自分に問いかけながら読み進めるのも、大人としては楽しいポイントでした。

そしてわたしの場合、そんなちょっと怖い描写やストーリー、そしてリアルな挿絵こそ、「何それ! わたしが知っている日本の話と違う!」と外国の物語や文化に興味を持つきっかけのひとつだった気がします。
気になって気になって、「どういうこと? ちょっと怖いけど、もっと読んで確かめなくちゃ」と思ったことを本当に懐かしく思い出しました。
ああ、小学生のわたしよ!

挿絵も美しいので、もちろん、お子さんと一緒に読んだり、読み聞かせたりもいいですね。
お子さんが一人で読むなら、小学校高学年以上に向いているようです。

監訳者のドイツ語翻訳者、井口富美子さんが書かれた解説がまたすてき。
ご自分の経験に照らし合わせて、若い読者を優しく深く、グリムの世界やドイツの土地にいざなってくれます。
お人柄がにじむこの温かい文章、ぜひたくさんの方に読んでいただきたいと心から願っています。


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by londonsmile | 2021-10-05 20:19 | 本のこと、映画のこと、音楽のこと | Trackback | Comments(0)

londonsmile、ロンスマことラッシャー貴子です。翻訳をしています。元気な英国人夫とのロンドン生活も早いもので17年目。20歳の時に好きになったイギリスが今も大好き。英国内旅行や日々のいろいろを綴っています。お仕事の依頼や写真掲載のご連絡は非公開コメントでお願いします。無断掲載はご遠慮ください。


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