不安な人たちとハッピーな新聞

コロナウィルス、本当に猛威をふるっていますね。

英国では今のところ感染者は出ていませんが、あまりの不安にマスクをする人が続出。
と言うと当たり前のことだと思われる方も多いでしょうが、この国ではふだんはマスクをする人は本当に本当にいないのです。
わたしが引っ越してきてから約14年の間に、ただの1回見ただけでした。
その時も、周りの人は「この人、どんな恐ろしい病気を持ってるの?」という目で見ていて、マスクの人に近づかない様子が印象的でした。
ここでは、マスクをしている=予防ではなくて、マスク=何かに感染した人と思っている人が多そうです。

その英国でもここ数日でマスクをした人をずいぶん見るのです。
うわさですが、ふだんはほとんど売れないマスクも今は品切れ状態だとか。
中華街のお店は閑古鳥が鳴いているし、街で東洋人を見るとあからさまに避けたり、「あっちいけ!」と言ったりする人もいるそう。
咳なんかしようものなら、ますます。
子どもだけでなく、大人も。
ふだん隠れている東洋人への差別的な気持ちが表れているのでは? と煽るようなことを解説する人も出てきて、いやいや、みんな、落ち着こうよ。
ここは豊かな多様性を誇る英国じゃないですか。

隣にいる東洋人に見えるその人は、中国の人じゃないかもしれないし、英国生まれで一度も中国に行ったことがない人かもしれないのです。
感染を心配するのはよくわかりますが、人を攻撃するより、まずは自分に体力をつけて予防し、身を守るところから始めたいなと思います。

日本でも中国の人への嫌がらせなどがあると聞きますが、英国の人たちも、今はちょっと過敏になっている気がします。
ふだん辛辣な冗談や自虐的な笑いでふざけている人たちが、いつもより真面目にカリカリしている感じ。

ちょうどEUを離脱したところで、移行期間の今はまだ大きな変化はないとはいえ、先が見えにくい不安な状態にあることも影響しているのかもしれません。
ハリー王子の王室離脱の騒ぎもあったばかりだし、世界的にもアメリカの大統領が弾劾されるのか? イランと戦争になるのでは? という話もありましたよね。

もちろん、もちろん、世界でなにが起きているか、よく知っておくことは重要です。
その上で自分の意見を持ったり、最悪の事態に備えて何か準備をしたりするのも大切。

でも、たまには息抜きしてもいいんじゃないかなと思うのです。
先の見えない不安や自分にはどうすることもできない問題に、ずっと向き合い続けるのは辛いもの。

という話を先日ご近所さんと話していたら、最近いいもの見つけたの、と、これを見せてくれました。
ハッピーなニュースばかりを集めた新聞、その名もザ・ハッピー・ニュースです。

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季刊で発行されるこの新聞は、クリエーターでイラストレーターのエミリー・コックスヘッドさんが創刊したもので、身のまわりから世界の遠い国まで、あらゆるハッピーなニュースを綴るというもの。

貸してもらった2019年12月号をのぞいてみると…(抄訳です)

「インドでは野生のトラの数が増え始めています。2010年に比べると74%、ネパールでは94%増加しています」

「英国内の乳がん患者の死亡率が引き続き下がっています」

「チェスター動物園でボンゴの赤ちゃんが生まれました」
(ボンゴは中央アフリカに生息するアンテロープで、ウシの一種だそう。ウィキペディアで写真を見たら、茶地に白い線の入ったボディとねじれた立派なツノが特徴的な愛らしい動物でした)

などと微笑ましいニュースばかり。
エミリーさんが描いている温かい色使いのかわいいイラストも、ほっこり心が和みます。

暗いニュースに打ちのめされてしまったら、こういう明るいニュースで気分を持ち直してみましょうよ。
不安もあるけど、いいこともあるよ、と思い出して、バランスを取るのも大切なんじゃないかな。

ハッピー・ニュースで特にわたしが気に入ったのは、EVERYDAY HEROES「あなたの周りのヒーロー」というコーナーでした。
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このコーナーは、読者が「よくやってるね! ありがとう!」と思う人を推薦する記事で作られています。
それぞれの名前の下に書かれた彼らの功績をのぞいてみると…(またまた抄訳)

「アメリアは本当にかけがえのない存在です。9歳でダンススクールに入ってからずっとわたしの右腕であり、大人になってもいつも支え励ましてくれる大切な友達です。わたしの母が認知症になった時も、少しでもわたしが自分の時間が持てるよう、母の相手を買って出て、母をいつも笑わせてくれました。母は彼女が誰なのか、もうわからなかったのに」

「ぼくの婚約者 - 会社の経営を成功させて賞を受けたり、ぼくたちの結婚式の準備を完璧にこなしてくれたり、ぼくにこの新聞を紹介してくれたり。大活躍しているすばらしい人です」

「ジェーンは、パリの同時多発テロのあと、恋人、友だち、家族、ペットにまつわる愛の話を人から聞いて、ウェブサイトに掲載しています。暗くなりがちな人々の心に光を与え、世界には憎しみより愛があふれていることを思い出させてくれるすばらしいサイトなんです」

どれもいい話でしょう?
みんながんばっているんだなあ、愛があるなあ、自分もがんばろう、と勇気と希望を与えてくれます。

しかもこれ、難病の特効薬を開発したとか、何億円も寄付をした、という偉人の話ではないのです。
身のまわりにいる自分にとって大切な人のエピソードを綴るコーナーです。

最近、こういう日常の幸せが大切なんじゃないかと思うようになりました。
世界的なヒーローももちろんすばらしくて世の中に必要な人たちですが、大切に思い思われる人が身近にいるという喜び、幸せ、感謝を感じさせてくれる存在。
ありがたいですよね。

その幸せを心にとめておけたら、世の中の不安なニュースの受け止め方も少しは違うんじゃないのかな。
なんて思うのです、反省もたっぷり込めて。
不安があったとしても、そのほかの幸せが減るわけじゃありませんよね。

とはいえ、心が幸せに満ちていても、ウィルスが襲うのはわたしたちの体です。
手洗い、うがいは欠かさずに。
(だいたい、手を洗わないというイギリス人、とても多いんです。東洋人を責める前に、そこでは?笑)
心配ならばマスクをして、用がなければあまり出かけない。
それで気が休まるならば。

でもそれをしっかりやったら、あとは心配しすぎずに明るい気持ちで生活したいですね。
同じ時間なら、イライラ過ごすより楽しく過ごしたいです、わたしは。


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by londonsmile | 2020-02-06 03:07 | イギリスの人・暮らし | Trackback | Comments(0)

londonsmile、ロンスマことラッシャー貴子です。翻訳をしています。元気な英国人夫とのロンドン生活も早いもので17年目。20歳の時に好きになったイギリスが今も大好き。英国内旅行や日々のいろいろを綴っています。お仕事の依頼や写真掲載のご連絡は非公開コメントでお願いします。無断掲載はご遠慮ください。


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