今週、ラヴィ・シャンカールのオペラ『Sukanya』を観てきました。
(Sukanyaはお姫さまの名前ですが、スカニャーという音が近いように聞こえます)
わたしは夫と知り合ってから知ったのですが、ラヴィ・シャンカールはインドの有名な音楽家で、シタールの大御所。
シタールとは、神秘的な音が鳴るインドの楽器で、ギターのような形をしていると言ったら、想像しやすいと思います。
シャンカールは、音楽を通じて元ビートルズのジョージ・ハリスンとも交流があったそう。
そういえば、ビートルズって一時期インド風な衣装を着たりして、ヒッピーっぽかったですよね。
夫の話を聞いていた時は、そんなことをぼんやり思い出した程度でした。
夫自身はラヴィ・シャンカールの大ファンで、瞑想の時にかかっていそうな神秘的な音楽をよく家で聴いているので、彼の名前はなんとなく頭にありました。
(ちなみに、こういう音楽を何時間もずーっと聴いていると、わたしは少し不安な気持ちになります。なんでだろう?)
やはり夫からの情報で、シャンカールはアメリカの人気歌手、ノーラ・ジョーンズのお父さんだということを知りました。
ご本人の音楽よりも、ノーラ・ジョーンズの父ということの方が実はわたしにとっては衝撃があったのですが。
もう一人、異母姉妹のアヌーシュカ・シャンカールはお父さんの跡をついで、シタール奏者として大活躍中だそう。
ある日、インドにもオペラにも詳しい友人が、急な用事で行かれなくなったからと、ラヴィ・シャンカールのオペラのチケットをくれたのです。
たまにオペラをご一緒する仲なので声をかけてもらったのですが、あいにく夫はその日、仕事で行かれない。
さて、わたしは誰を誘ったでしょう?
開演前のステージ。
蒼いライトに照らされたステージにはすでにスモークがたかれていて神秘的でした。
オペラ『Sukanya』は、西洋と東洋の音楽を融合させようとしてラヴィ・シャンカールが90歳の時に作曲した作品だそうです。
90歳でなおオペラを書こうという意欲に驚きますが、お嬢さんはどちらも彼が60歳前後の時に生まれているので、きっと本当に元気な方だったんだろうと想像します。
結局、シャンカールが書いたオペラはこれが唯一の作品になり、初演されたのは2012年にご本人が亡くなった5年後の2017年だったそう。
ひんぱんに上演されない作品だし、とても貴重な機会です。
オペラは神秘的なシタールの静かなソロから始まりました。
オーケストラにインドの楽器、シタール、タブラなどが加わっていて、時に西洋風、時にインド風、時にそのふたつが融合、という具合にくるくると変幻自在。
不思議な感覚でした。
特に気になったのは、インドの民族楽器、シェーナイ。
クラリネットのような見た目ですが、やはりシタールのように神秘的な音が出るんです。
すっごく大雑把に言えば、「イエロースネーク、カモーン!」の蛇使いが吹くラッパのような音。
吹く人の息遣いまでよく聞こえて、人の温もりを感じる音がとても印象的でした。
そしてこのオペラは、音楽だけでなくダンスも見応えたっぷりでした。
オペラにダンスが入ることはありますが、 Sukanyaでのインド風のダンスは踊っている時間も長かったし、本当にすばらしかった!
ボリウッド映画で見るようなコミカルな動きあり、コンテンポラリー風なダンスあり、ソロあり、群舞あり。
舞台から目が話せず、舞台上の歌の字幕さえ見そびれちゃうほどでした。
動きに合わせて優雅に揺れる衣装も美しくて、うっとり。
休憩を入れても2時間という短めのオペラなので、ストーリーはわりとシンプルでした。
蟻塚になって歳をとってしまった老人と、若くて美しいお姫さまの真実の愛の物語。
合間には、初めてインドの楽器を買った話など、なかなか楽しいセリフも盛り込まれていました。
歌はすべて英語ですが、繰り広げられるのは古代インドの世界。
ヨーロッパにいるようなインドにいるような、不思議な時間が経験できました。
休憩時間にサウスバンク側から見たテムズ川の北岸。
さて、この日はご一緒した方ともとても楽しい時間になりました。
夫の代わりにお誘いしたのは、同じフラットに住むインド人マダム、御年94歳。
亡くなったご主人が政府の高官で、生前、ラヴィ・シャンカールと交流があったと前に聞いていたのです。
ご高齢の方と2人で夜に出かけるのは少し緊張しましたが、マダムは今でもヨガやピラティスをしていてとてもお元気だし、疲れたら疲れたと伝えてもらえる程度には親しい付き合いだと思ったので、思い切って。
夜のお出かけは久しぶりだったようだったし、音楽もダンスもあるオペラを観て「インドに暮らしていた頃の忘れていた感覚が戻ってきた感じ、何十年か前にタイムスリップしたみたい」と言ってもらえて、嬉しかったです。
喜んでいるマダムは少女のようにきらきらしていて、本当にかわいらしかった!
軽く食事をしてからコンサートに出かけたので、一緒に家を出てから戻るまで約6時間、2人っきりで過ごしたことになります。
その間、インドの話や子どもの頃の話、ラヴィ・シャンカールの思い出話、インド高官あるある話(笑)までたっぷり聞けて、その意味でもロンドンにいながらインドに触れた夜でした。
ちなみにずっと「インド」と言っていますが、イスラム教徒である彼女は正確にはパキスタンの方。
でもインド・パキスタン分離独立を身をもって経験したマダムの心は今もインドにあるようで、たいてい「インドでは」と話されます。
心中は複雑だろうとお察ししつつ、貴重なお話を聞ける幸運に本当に感謝しています。
当日演奏したロンドン・フィルハーモニック・オーケストラが、ウェブサイトでSukanyaのパンフレットを無料で公開しています。
よかったら、↓のページの右端からご覧ください。
うまく切り取って表示できなかったのですが、このページに写真が載っているラヴィ・シャンカールさま、すばらしい目ヂカラで、まさに吸い込まれてしまいそう。
きっと魅力的な方だったんでしょうねぇ。
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