秋晴れの日に、窓を取り替えました。
そもそも窓の取り替えという考え自体、日本にいた時にはありませんでした。
古くなると家ごと取り壊してしまって、新築の家を建てることが多いでしょう?
でも石やレンガの建物が多いイギリスでは、木造より長持ちするせいか、家の一部を直して長く住み続けることの方が多いんです。
だから家を改装という話も本当によく聞くし、窓を交換するなんていう以前は想像もできなかったことが起きたりもして、おもしろいなあと思っています。
ただ、今回のわが家の窓工事は、二重窓への取り替えでした。
二重窓、それもわたしにとっては新しいものでした。
学校で「北海道では寒いので、二重窓を使っています」と習ったきり、イギリスに来るまですっかり忘れていた言葉。
要はガラスを二重にして、空気が入り込む量を抑えるということですが、寒いイギリスでは今はこれが標準仕様。
ただしわが家のように古い建物は、そうでないところが多いので、二重窓に替える家が多いのです。
わが家の窓は、昔風に鉛が格子状に入ったもの。
実はこれもこの建物が気に入った理由でもあります。
緑地の多いこの辺りは保存地区になっているので、建物の外観を変えることはできず、新しい窓も同じように作らなければなりません。
見た目が同じなのは大歓迎なのですが、こういう古い形の窓を作ってくれるところは限られている上、お値段もぐんと上がります。泣
でも仕方ありません、枠の部分がずいぶん錆びてきていて、手間をかけて塗り直しをするより、思い切って替えてしまおうということになったんです。
錆びがいちばんひどかったバスルームの窓。
お風呂があるとどうしても湿気が滞っちゃうんです。
さて窓の交換ですが、これが意外と簡単でびっくりしました。
まずはこのフラットで何軒も同じような交換作業をした業者さんに連絡。
(他にも業者さんはいるみたいでしたが、この場所での経験が多いというのはやはり頼りになります)
見積もりに現れたのはおじいさん。
初対面で失礼だけど、自分で「もう86歳なんだよ、はっはっは」といきなり自己紹介したので、そう呼ばせていただきましょう。
窓のサイズももう経験でわかっているようで、実際に測ることもなく、その場で料金と納期の見積もりを出してくれました。
今からオーダーして作るので、出来上がるのは3ヶ月ぐらい先、とのことで、あとはひたすら待つだけ。
そして約5ヶ月後、やっとその日がやってきました。
(ええ、ええ、3ヶ月後って言われましたよ、でも3ヶ月も5ヶ月も、この国では「誤差」のうちなんです!笑)
工事の当日は、おじいさんの息子さんと若い衆が1人やってきました。
テキパキと窓を外し始めたのですが、この方法がちょっと驚いた!
窓と木枠の間にノミを入れて、トンカチでトントン、ガンガンと叩いて外すんです。
ドリルかなんかでガーッとやるんだと思っていたので、びっくり。
2人の古風な職人技にみとれちゃいました。
考えてみれば、この建物ができた1930年代にはドリルはなかったのかもしれないし、ノミとトンカチが建物にも合っていて、いい感じですよね。
音はかなり大きいけれど、ドリルのように細かい削りカスが出ないのがありがたく、あとの掃除が楽でした。
あっという間に窓、全部なくなりました。
ちょうど秋晴れの気持ちのいい日だったので、すがすがしい開放感!
ここに窓を入れて、枠との隙間をきれいに密閉してもらうと、こんな感じに。
見た目は前の窓とほとんど変わりません。
外から見ても、他の窓と違いがわからないでしょう?
ちなみに出窓になっているところが二重窓で、その下も隣も古い窓です。
(下のお宅はカーテンがかかっているので、ちょっとわかりにくいですが)
ちなみに、窓の交換に外からの足場は組みませんでした。
写真は、ハシゴを使って外からしっかりシーリングをしているところ。
雨が入り込んじゃうと大変なので、これは大切な作業です。
窓を外す時は、基本的に家の中から作業するのですが、窓がぐらぐらしてきた時に手が滑って落としちゃうことだってあり得ると思うんです。
それをがっちり手で支えて内側に入れるのは、ものすごく力のいる職人技。
(そういえば、たまに「うっ!」とか「あ”ーっ!」とかいう声が聞こえていました。笑)
おじいさんの息子さんはそれなりの年齢でしたが、若い衆はまだ20代と思われるのに、すごい!
あとで聞いたら、窓の交換を専門にしているということでした。
もの静かで力持ちでかっこええ青年でした。
キッチンの窓を取り外す若い衆。
シンクの向こうに窓があるので、狭い窓辺での作業。
すごく大変だったと思います。
どうもありがとう!
取替え後は、バスルームの窓もこの通り。
外側にある窓枠(段々になっているところ)は今回は替えていないので汚れてますが(汗)、ガラスのすぐ周りを見てね。
窓枠は、落ち着いたらペンキを塗り直す予定。
ナナメの角度でみると、窓が二重になっているのがわかりやすいかな。
まずは元の古い窓から。
そしてこちらが二重窓。
枠に沿った黒い部分の手前と向こう側にガラスが2枚はさまっています。
この日はお天気がよくて本当にラッキーでした。
雨の日に窓を外したりしたら、家中ずぶ濡れ! 想像するだけでぞっとします。
職人さんたちにも気の毒だし。
そういえば、とても感じのいい2人の職人さんが熱心に働いているところに、ボスのおじいさんが社長出勤してきました。おしゃべり好きなおじいさん、まず自分の心臓の状態を全部わたしに話してくれたあと、二重窓のお手入れの方法や気をつけることを詳しく教えてくれました。
おじいさんのおしゃべりだけでもかなりおもしろかったのですが、そこへお隣のドイツ人のおばあさんが様子を見にやってきたんです。
おじいさんとも顔を合わせて、なんだかお互いに病気自慢みたいになり、「僕の方が年寄りのはず」と言い張ったおじいさん、おばあさんが93歳と聞いて、恐れ入っていました。
86歳と93歳、どちらもお元気で何より。
こんな風に、わが家で工事しているのを見て、この日はいろいろな人が「ちょっと見せて」と代わる代わる家にやってきました。
親しくしているクリスとボブは、わたしに朝のおやつの差し入れもしてくれて、なんだかご近所のお祭りでもしている気分になりました。
そのたびに状況をご近所さんに説明するわたし。
もうすぐこの会社から仕事のオファーがあると思います。笑
クリスは、わが家の古い窓を自宅のキッチンのドアに再利用できないかと考えていました。
建物のオリジナルの窓をドアにするなんて、なんてすてきなアイディア!
わたしも、そうなったらすごく嬉しいと思って、職人さんやおじいさんとクリスを引き合わせて話し合ってもらったのですが、鉄製の枠は加工するには扱いにくく、コストがすごくかさむことがわかって、彼女は泣く泣くあきらめました。
でも、彼女がそんな自由な発想をしたのはすばらしいし、クリスと2人でしばらく一緒に夢を見られたのが楽しかったです。
工事を決めてからほとんど待っている時間ばかりで、当日にわっといっぺんにいろいろなことが起きた二重窓への取替工事。
大興奮の1日が終わってみると、もうその日の夜からすきま風が入りにくくて暖かいことを実感しました。
やってよかった。
この日の夜は安心と喜びをかみしめながら、まさに祭りのあと、という気分になったのでした。
(これまでお疲れさま。ありがとう!)
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