大英博物館のマンガ展、滑り込みで行ってきました
2019年 08月 20日
大英博物館で5月から開催されている「マンガ展」に滑り込みで行ってきました。
話題のこの展示、日本人ではないキューレーターさんの漫画好きが高じて実現した、と聞いていたので楽しみでした。
漫画は世界中で流行しているようだけど、他の国の人はどんな風にマンガを見ているのかな、と。
行ってみると、これまでと違う視点で漫画を見ることになって、とても新鮮で楽しかったんです。

展示に入るとまず、巨匠・手塚治虫がインタビューに応える映像がありました。
そこで巨匠は、「数百年前の鳥獣戯画に漫画のすべての特徴、つまり省略、変形、誇張がすでにある」と熱く語っていました。

(ちなみに展示は特別な指示がないものは撮影オーケーでした。
ピカチュウの原画なんて、もう写真撮る人の行列ができていたほど!)
考えてみると私にとって漫画とは「ただ読むもの、楽しむもの」であって、その歴史について考えたことなんて一度もなかったのです。
日本人はそういう人が多いのではないでしょうか。
しかしやはり博物館での展示となれば、その歴史もバッチリ教えてくれるのです。
イギリスで漫画について学ぶとは思いもよりませんでした!
漫画の起源は、手塚巨匠によれば鳥獣戯画の時代に遡るようですが、江戸時代の浮世絵やユーモラスな題材、歌舞伎の引幕にも影響が見られたそうです。
その後、開国、明治維新を迎えた日本にヨーロッパ風の風刺漫画が紹介されて時事漫画が今に近い形で発達し、さらに戦後のディズニーの影響を受けてますます広まったとのこと。
この説明、日本人のわたしはわりとするっとわかったので、ささっと通り抜けましたが、中には説明書きをじっくり読み込んで、展示ケースの前に根気強く張り付いている人(たいていヨーロッパ系の人)もいましたよ。
熱心な漫画ファンなのかな。
おもしろかったのが、漫画のコマを読み進める順番が紹介されていたこと。

漫画をどの順番で読むかなんて、考えたことありますか?
私はなかったです!
横書きをする言語を持つ西洋の人にとって、本は左から右に読むものなので、右から左に進むこと自体が読みづらいということもあるかもしれません。
たいていの日本人は子どものうちに自然にコマの読み方を学ぶけれど、初めて見る人はどうやって進むのかわからないのか、と思うと新鮮。
私たち、子供の頃から意外に複雑なことをやっていたのかも!笑
漫画の背景が持つ意味(これもわたしたちはほぼ自然に学びますよね)や漫画を描く道具についてもしっかり説明がありました。
そしてもう後は本当にさまざまな漫画家と作品(原画付き)の紹介オンパレード!(英訳もついていました!)

こちらは手塚治虫の『リボンの騎士』。
さすがのわたしも、見たのはアニメ版の再放送でしたが、とっても懐かしかった!
懐かしいといえば、こんな方も。

とポーズしているのは、赤塚不二夫の『おそ松くん』に出てくるイヤミ。
その他、『バカボンド』の井上雄彦、江戸風俗を描いた杉浦日向子、妖怪漫画と言えばこの人の水木しげる、最近話題の「きのう何食べた?」のよしなかふみ(もう英語版が出版されていました)、『ONE PIECE』の尾田栄一郎などなどなど。
知らないものも多かったので、全部書ききれませんが。
これだけたくさん見ていると、わたしは漫画を全然知らないんだなーと呆然としました。
大英博物館や大英図書館を舞台にした星野之宣の『宗方教授異考録』シリーズの『大英博物館の大冒険』には、大英博物館やフィッシュ&チップスも登場して、それだけで読みたくなりました。
住んでいるのに、まだロンドンのことを読みたいと思った自分に苦笑。
私の目が釘付けになったのは、なんといっても『ポーの一族』『11人いる!』の萩尾望都でした。
かなり愛読していたので、彼女にはどうしても「先生」とつけたくなりますが!笑
同じ少女漫画の竹宮恵子の展示もあったのですが、萩尾派だったわたしは、萩尾作品の原画をガラス越しにじーっとじーっと眺めてしまいました。
今ネットで見ていたら、萩尾先生はこの展示の開始前にロンドンにいらして講演もされてたんですね。
行けばよかったなあ!

ちょっとおもしろかったのが、漫画家さんの紹介に必ず血液型が書かれていたこと。
というのも、イギリスでは血液型の話をすることほとんどなく、自分の血液型を知らない人も結構いるんです。
血液型占いなんて、とんでもない!笑
夫はその話になるたび鼻で笑います。
でもわたしは夫がA型であることを一発で当てたのになー。
話は戻って、血液型を紹介したのも「日本らしさ」を演出するキュレーターさんの狙いだったのかもしれません。
久々に血液型の表示を見て、最初はイギリス式にちょっと不思議に感じ、でもその後やっぱり懐かしく思いました。
終盤はmanga for everyone(すべての人にマンガがある)として、漫画はスポーツ、愛情や欲望、過去の世界、冒険、信仰、SF、恐怖など、漫画が扱うテーマが幅広いことを、それぞれ例を出しながら紹介。
ここでは、名前だけ聞いたことのあった中村光の『聖⭐︎おにいさん』が猛烈に読みたくなりました。
ちなみにこれはキュレーターさんのお気に入りでもあるそう。
最近人気の「マンガで読むシリーズ」の本もしっかり展示されていましたよ。
マンガで読む般若心経とか、マンガで読む奥の細道とか、いろいろあるんですねぇ!
少し前なら日本でも漫画で般若心経を学ぶなんて考えられなかったけれど、すっかり定着しているんですね。
ちなみに、わたしもすごく急いで旧約聖書を読む必要があったときに、このシリーズにお世話になりました。
展示ではさらに大盛況のコミケの様子を映像で紹介したり、漫画の背景をバックにプリクラを撮れる設備をもうけたり(大人気で行列が!)、と、本当にいろいろな角度から漫画を楽しめるようになっていました。
フランスでは漫画が大人気みたいですよね。
バンド・デシネという独自の漫画もあるようだし、日本文化への興味や人気が高いようですよね。
考えてみると、萩尾望都先生の作品なんて、単なる「マンガ」じゃなくて文学に近いと思うのです。
こみいったストーリー、細やかな感情の表現、美しい画風。
『ダーリンは外国人』の小栗左多里さんが、「大人がマンガを読むなんて!」と外国人に馬鹿にされると、「低俗だから漫画を読むんじゃない、日本の漫画は質が高いから大人も読むんだ!」と(いう意味のことを)言い返すとおっしゃっていましたが、この展示を見ていて、本当にそうだなあと実感しました。
展示には、マンガを実際に読めるコーナーもあったんですよ。

日本語でも英語でも読めるようになっていて、『サザエさん』から『ちびまる子ちゃん』、『キャプテン翼』、萩尾望都の『ポーの一族』『11人いる!』、一条ゆかりの『有閑倶楽部』!
懐かしくてたまらなくなり、『ポーの一族』を手に取り、その場にあった椅子に座って読みました。
ちょうど日本で『ポーの一族』展があったと友だちのSNS投稿で見ていたので、とても嬉しかった!
そしてはっと気がつくと、あっという間に30分経っていました。
それなのにまだ5巻中2巻しか読み終わっていない!
忘れていたところもずいぶんあったし、最後まですごく読みかったのですが、そろそろ帰らなくてはならず、後ろ髪をぎゅうぎゅうと引かれながら会場を後にしました。
展示の出口にはショップが出ていて、キャラクターグッズ(ニャロメのポーチやウナギイヌのトートバッグも!)やポストカード、漫画そのものが売られていました。
ここでなんと『ポーの一族』のプレミアムエディションというものに遭遇。

大きなサイズの上下巻に全編が収められていて、登場人物の紹介や年表もついているんです。わー!
今にも買ってしまいそうになったのですが、悲しいかな、ここはイギリス、このポンド激安時代でもお値段がすごいことになっていたので、泣く泣くあきらめました。
今度日本に行ったら買っちゃおうかな。
と言うわけで、わたしにとっては、漫画をこれまでと違う視点で見ることができた上、めちゃめちゃ懐かしい思いにも駆られた展示でした。
いやー、漫画っていいですね。
このマンガ展、始まった5月、6月ごろは大混雑だったようですが、もうそれほど混んではいません。
当日でもチケットを買えるので、ご興味のある方は終わっちゃう前にぜひ。
8月26日までです。
(ちなみにこの展示のキュレーターさんの日本語でのインタビューはこちらから!)
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ねー、懐かしいですよね。ベルばらも、キャンディキャンディも!
この展示、こちらではかなり話題になっていたんですよ。日本人でない人の目を通して見たマンガ、かなりおもしろかったです。





