さて、お約束したように、今回はイースターの週末に滞在したホテルのお話です。
サリー州のカントリーサイドを見渡す丘の上に建てられた
Barnet Hill Hotelは、ビクトリア時代に建てられた華やかなお屋敷、広い庭、そしてちょっとした歴史もあるお宿でした。
イギリスには立派なお屋敷を改装したホテルがよくあるので、どういう雰囲気なのか、建物編、お庭編と2回に分けて、ご紹介してみたいと思います。
今回、ここを選んだのは夫でした。
イースターのお泊まりは直前に決めたので、近場で車のないわが家でも行きやすいところ、お庭が広くてゆっくり散歩できるところ、そしてわたしが好きな古くて美しい建物があるところ、という基準で選んだようです。
これが建物。立派でしょ。
実はこれを最初に建てたのは、トマス・クックの孫、フランク・クックさんなんだそうです。
日本の方は「トマス・クックって誰?」とお思いになるかもしれませんが、イギリスでは有名人。
団体旅行の手配、ホテルや列車の代理予約などを19世紀に初めて行って、近代的な意味での旅行業を確立したと言われています。
というわけで、そんな有名人のご家族が建てた家と知って、ますますこのホテルに興味を持ったわたしでした。笑
クック家の方とお目にかかったことはありませんが、お名前を知っていると、何となく親しみを覚えるじゃないですか!
フランク・クックさんがお屋敷を建てたのが1905年。
ご本人が亡くなった後、2度の世界大戦ではご家族が建物を赤十字に貸し出し、市民の病院として使われたそう。
そういえばホテルの中にプレートがかかっていました。いいお話ですよね。
さらにその後、赤十字に売られた建物はしばらく研修所として使われ、さらに持ち主が変わって会議場になったのち、2005年からホテルとして使われているようです。
建物は指定建造物(listed building)になっているので、許可なく壊したり手を加えたりするわけにいきません。
クック家がどんな経緯でお屋敷を手放したかはわかりませんが、こうして今でも立派な建物を見ることができるのは、ご家族にとっても嬉しいことなんじゃないかなあ。
それとも人手に渡ってしまったのは残念かしら。
クック家の方たちはたまにホテルにいらしたりするのかしら、とすでに妄想が始まるわたしでした。笑
小高い丘の上に建てられたお屋敷は、優雅なクイーン・アン様式。
上の写真はお庭側ですが、南向きだし、オープンになっていて写真が撮りやすいので、どうしてもそちらから写真を撮りたくなるんです。
が、入り口側もこんな感じにすてきなんですよ。
ちなみに最初に張ったリンクからホテルのサイトに飛ぶと、ドローンで撮ったと思われる美しい映像でホテルの全景が楽しめますよ。
この北向きの入り口を入って、すぐにずずーっと広がっているのが、この美しい廊下です。
写真右側が入り口で、入るとこの廊下が左右に広がっています。
どうですか、この優雅な空間!
天井のデコレーションも凝っていて美しいですね。
大きなお屋敷にはこれまでにもずいぶん出かけていますが、こういう横に長い廊下のある形式には初めて出会いました。
この建物は奥行きよりも横幅があるようです。
上の階のお部屋に続く階段もこの通り。
少女漫画に出てきてあこがれた「西洋の館」そのもののよう。笑
今はホテルとして見ているので、きれい〜、で済んでいますが、もともと家族が住む家だったことを考えると、規模も装飾も、桁外れにすごくないですか?
立派なお屋敷、あるいはそれが改装された場所に行く楽しみのひとつは、そこだと思うんです。
つまり、今ではもう作れないであろう建物を自分の目でしっかり見られること。
その背景にあった裕福な暮らしや優雅な習慣などに想いをはせること。
このブログでも何度か言っていますが、わたしの場合、2番目の方が大きいかもしれません。
こういう建物を見ていると、ドレス姿のお嬢さんや、シルクハットをかぶった紳士が見えてくるようで。笑
そして、そこにいる自分も、まるでその仲間になった気がして、子どものように嬉しくなるのです。
やっぱり少女漫画の読みすぎかもしれません。
まま、気を取り直して、今度はダイニングへ。
これぞイギリスという感じのオーク(ヨーロッパナラ)の木のパネル張り。
ダイニングルームの名前も、ずばり、オーク・ルーム(オークの部屋)でした。
しっかりした色味のオークは木目も強めで、人によっては「暗い」と感じることもあるようですが、木のぬくもりがたっぷり感じられて、わたしは大好きです。
そしてこの伝統的な雰囲気の中で、到着早々アフタヌーンティーを。
これまた昔の裕福なご家族に想いをはせながら、優雅なひとときでした。
特に中がホロっとしていたスコーンがわたし好み。
ふわふわのスコーンもあるけれど、わたしは紅茶をがぶがぶ飲まなくちゃならないほど固めが好きなのです。
紅茶がぶがぶなんて、優雅とはほど遠いけれども!
ちなみに朝食と夕食もこのオーク・ルームになります。
朝ごはんは簡単なビュッフェ式でしたが、久しぶりのイングリッシュ・ブレックファースト。
日本の温泉と同じで、「ふだんはトーストぐらいしか食べないけど、旅行中だからたっぷり食べちゃうもんね」というイギリス人が多いのです。
そういえば、ロンドンからこんなに近いのに、お客さんの層はイギリス人の比率が高めだったようです。
1日めには結婚式もあってにぎやかでした。
オーク・ルームのすぐ外にはテラスがあって、その前には広い芝生が広がっています。
お庭の紹介は次回にして、オーク・ルームの隣を見てみると。
すぐ隣はバーでした。
かなりモダンな雰囲気で、わたし自身はちょっと残念、と思ったのですが、明るくていい感じではあります。
食事の時間より少し早めに降りて行って、バーでカクテルなんか飲んじゃうのも優雅な気分。
ここで、先ほどの廊下を通って、建物の端の部屋へ。
こういうお屋敷にはよくライブラリー(図書室)がありますが、前はそんな感じで使われていたんじゃないかと思われる部屋でした。
本は1冊も置いてありませんでしたが。笑
食事前のカクテルや食後のコーヒーもここに持ってきてくれます。
滞在中、一歩もホテルから出なかったわたしたちは、ここでもビールを飲みながら本を読んだり、軽いお昼をいただいたりしました。
またまた廊下に戻って、反対側に歩いていくと、ホテルの受付やマッサージルームがあります。
受付脇の壁に、ちょっとおもしろいものを発見。
家族の人たちは、用事があると呼び鈴を鳴らしてメイドや執事を呼びますが、そのベルがどの部屋で鳴ったのかを確かめるパネル。
映画やドラマでよく見ますよね。ダウントンアビーにも出てきたはず。
下の2つのパネルの小さい丸の中には、何か白いものが入っていて、おそらく呼び鈴が鳴ると、それが動いて知らせてくれるんだと思います。
でも、ざっと数えただけでも丸は30個以上ありますね。
ひゃー、ダイニングなんかもあるとはいえ、お部屋は全部でいくつあるのかしら。
使用人が働くのは建物の地下が多いのですが、地下のないこの建物では、キッチンや使用人の部屋(おそらく今はスタッフの部屋)などはこのパネルがある側にまとめて設けられていました。
ところで、わたしたちが泊まった部屋は、このメインの建物ではなく、別館のようなところにありました。別館と言っても、新しい建物ではなくて、ここなんです。
これ、もともと何だったと思いますか?
答えは馬小屋!
というと、狭くて暗い場所のように聞こえますが、なかなか大きな建物でしょ。
これだけ大きなお屋敷ともなれば、当時は馬車も数台あっただろうし、ということは馬も何頭も飼われていたからだと思うんです。
このホテルでは、ここを「コートヤード(中庭)」と呼んでいました。
中庭の真ん中にはしっかりお馬さんの置物がありましたけれど。笑
もともとは2階建てではなかったかもしれませんが、今は2階建てになって、モダンな客室が作られていました。
個人的には、こういうホテルにはもっと伝統的な、古くさいぐらいの内装の方が似合うと思いますが(笑)、モダンで清潔感あふれる雰囲気はお部屋は好印象。
バスルームにも日光がたっぷり入って明るく、気持ちのいいお部屋でした。
しかもお部屋にエアコンが入っていたんです。これはイギリスとしてはかなり新しい設備!
もともと馬小屋だったところに部屋を作ったからできたんでしょうね。
最初から部屋になっていたら、きっとすでに古い暖房設備があって、それを直して使うことになったんじゃないかと思います。
このベッドに寝っ転がって二夜連続で観た2本の『ブリジット・ジョーンズの日記』、よかったなあ。
このホテル、対応がかなりカジュアルだったのですが、こんな宝物のような美しい建物に入っているので、のびしろはもうたっぷり。
体制をほんの少し整えたら本当に本当にすばらしいホテルになると思います。
それにこじんまりしたホテルだけに、スタッフの人たちともお互いにすぐに顔がわかりあえるのがまたいいところ。
やあ、さっきも会いましたね、という感じで親しげに話しかけてくれるので居心地がよく、連泊に向いていると思いました。
さて、次回はホテルの広い庭をご紹介しますね。
想像以上に広くて、ヨーロッパ式の整った庭園や野生の香りたっぷりの森まで、さまざまな顔を見せてくれましたよ。
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