ロジャー・パルバースさんの新刊『Liv』記念トーク@London

もう先月のことになってしまいましたが、ロンドンでのロジャー・パスバースさんの新刊記念トークに行ってきました。

ダイワ・ファンデーションという日系の団体を会場にして行われたこのトーク、小規模ながら、いえ小規模だからこその和やかな集まりでした。


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(リージェンツ・パークを見晴らす絶好のロケーションにあるダイワ・ファンデーション。

日本関連のさまざまなイベントや交流プログラムが行われています)


ロジャー・パルバースさん、お名前は聞いたことがあったのですが、この機会に調べてみて、その活動の幅広さに改めてびっくり。


ニューヨークで生まれてUCLA、ハーバード大学を卒業後、ワルシャワ、パリなどを経て1967年に初来日。

その後長くお住いになって、今はオーストラリア国籍。

小説を日本語と英語の両方で書く上、脚本家、翻訳家、舞台演出家、映画監督(『戦場のメリークリスマス』での助監督!)でもあり、宮沢賢治や井上ひさしの英訳もされていて、『雨ニモ負ケズ』の翻訳では第19回野間文芸翻訳賞を受賞。


まさに世界を股にかけて、驚くほど広い分野でご活躍。

中でも私が気になったのは、井上ひさしの英訳をされていることでした。

井上ひさし、大好きなのです。

なので、ますますどんな方なのか興味津々になり、当日、とても楽しみに会場に入りました。

会場での写真は撮らなかったので、ご興味ある方はダイワ・ファンデーションのこのページをご覧くださいね。

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(会場からベーカーストリート方面を眺めた夜景。

ほとんどオフィスかと思いきや、意外に生活している人もいて

新しい発見でした)


登場されたパルバースさんは穏やかながら本当にお話が上手な方でした。

ベトナム戦争を避けてアメリカを去ったこと、1960年代の東欧でスパイ疑惑をかけられたこと、その後日本に長くお住まいになったことなど、これまでの人生をうかがうだけで小説のようにドラマチック。

すっかりお話に夢中になってしまいました。


これまでのお仕事の数々のお話も聞けました。

小説の一部朗読、映画の一部上映、こぼれ話をこっそり、などなど。

一部上映されたのは、2017年に公開された『STAR SAND – 星砂物語』でした。

ご自身の小説を映画化したこの作品で、パルバースさんは監督も務めていらっしゃいます。

沖縄の風景が美しいのもさることながら、静かな中にも緊張の走るシーンが登場し、特に寺島しのぶさんが空襲の様子を語るシーンは圧巻。演技に引き込まれました。

ぜひ全体を通して観てみたい! 

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(原作本の『Star Sand』)


日本を愛するパスバースさんは、東日本大震災の後に陸前高田を訪ねるなど、いろいろご尽力くださったそうです。

その活動のひとつがチャリティーソング、『花は咲く』の歌詞の英訳。

東北出身の著名人が歌い、映画監督の岩井俊一さんが撮影したNHKプロジェクトの英語字幕つきバージョンが会場でも流されました。

日本ではずいぶん流れたようですが、わたしは初めて見たので、もう涙、涙でした。

ぜひここにアップしたかったのですが、残念ながら公式映像が見つからないので、ご興味あったらネットで探してみてくださいね。すぐ見つかると思います。

歌詞の英訳者として、パルバースさんのお名前もしっかり載っていましたよ。


日本で起きていることを海外に広く知ってもらうには、まず外国語(今の時代はやはり英語)に訳されることがとても大切ですよね。

震災のとき日本にいなかった在外の私たちはみんな、日本のためにできることがあまりになくて、とても歯がゆい思いをしたので、その大切な作業をしてくださったパルバースさんに頭が下がりました。


そんな大活躍のパルバースさんですが、この日の目的は最新刊『Liv』の発刊記念トークだったのでした。

(あまりにご活躍なので、なかなか新刊まで辿りつけなかった。笑)

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1975年、シドニー郊外の列車の中で、リヴは乗り合わせて男に見覚えがあることに気づく。

戦争中、東京のドイツ大使館で勤務していたこのドナルドという男は、人を責め立てたり憲兵に引き渡したりとひどい仕打ちをさんざん繰り返していた。

この獣のような男のことを彼女はずっと忘れられずにいたのだった」


実はわたしはまだ読めていなくて、これは本のカバーからの抜粋の訳なのですが、1945年の東京と1975年のオーストラリアを行ったり来たりするパスバースさんらしい国際的、かつ時間を超えた設定で、やはり平和を考えることになるのではないかと期待しています。

邦訳も出ると嬉しいですね。(ちなみに英語の本は日本でも購入でき、Kindleでも入手可能なようです)


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(ダイワ・ファンデーションのパンフレット、かわいい)


お話が終わった後は、飲み物が出されて参加者のみなさんで軽くおしゃべりタイム。

気軽にワインを飲みながらの交流というのは、やっぱりヨーロッパだなあと思います。

出版記念の席というより、どこかの家の居間のようなくつろいだ空間だったので、ご本人も交えて、みなさんおしゃベりが弾んでいました。


本にサインをお願いするとき、英語と日本語、どちらで話したらよいかと迷ったので思い切って聞いてしまったら、パルバースさん、「わたしは日本語話さない人は信用しませんから!」ときっぱり。笑

周りを笑いの渦に巻き込んでいました。

そして日本語があまりに堪能で、やっぱり驚いてしまいました。


この日わたしがうかがうことを知り合いの方が事前に話してくださっていたようで、サインしてもらいながらその方のお名前を出したところ、「ああ、聞いてますよ!」とわたしの名前を言ってくださって大感激。

知り合いの方のお気遣いも嬉しかったのですが、会ったこともないわたしの名前を覚えていてくださるなんて。

きっとあちこちで人にお会いになるでしょうに!

これでまたすっかりファンになってしまいました。

人を惹きつける力のある、なんともチャーミングな方なんです。


こういう会に参加するようになったのは最近のことなのですが、毎回、著者の方々の魅力にノックアウトされちゃいます。

やはり何かを書いたり、大活躍されたりする方は、興味深い方が多いんですよね。


複数の言葉を使って異なる文化に触れ、他に紹介するというのはわたしの憧れです。

言葉で言うほど簡単ではありませんが、どうせやるなら高いところを目指して、視野が広くてバイタリティーあふれるパスバースさんをこれからお手本にしてみたいと思った夜でした。


パルバースさんの今後のますますのご活躍を期待しています!



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by londonsmile | 2018-03-28 20:07 | Trackback | Comments(0)

londonsmile、ロンスマことラッシャー貴子です。翻訳をしています。元気な英国人夫とのロンドン生活も早いもので12年目。20歳の時に好きになったイギリスが今も大好き。英国内旅行や日々のいろいろを綴っています。お仕事の依頼やご連絡は、非公開コメントでお願いします。


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