京都3日目の朝はまたバスに乗って、洛西の
鈴虫寺へ。
妙徳山華厳寺というのですが、前の住職さんが飼い始めた鈴虫の美しい音色をいつも聞くことができるので、鈴虫寺という愛称が生まれ、今ではバスの行き先も「鈴虫寺」になっています。
願いをしっかり叶えてくれるというお地蔵さんも有名で、行列のできるお寺なんです。
お寺近くのお宅の軒先のオブジェ。
一瞬見逃しそうなほど溶け込んでいる色を使っているセンスも、とぼけた目つきの遊び心もニクいですね!
蝋梅が咲き始めているのが見られたのも嬉しかった♪
お寺につく前、ホテルからバス停まで、京都の住宅地を通ったのがおもしろかったので、そこもちょっとご紹介しますね。
ご存じのように京都の街並みは碁盤の目のようになっていますが、裏通りの住宅地もほぼ同じでした。
世界中どこに行っても、人が暮らす家の間を歩いて生活をちょっとのぞかせてもらうのが好きです。
さすがに写真には撮らないけれども、お家の中がちらっと見えたり、風鈴がちりりんと鳴っていたり(これは日本!笑)、子どもの洗濯物がたくさん干してあったりするのを見るのが楽しいのです。
京都では、町家造りのお家が路地にもずらりと並んでいるのに興奮。
外観は町家ながら新しく塗装されているいちばん手前のお家は、お得な値段で泊まれるゲストハウスだったと思うのです。
外国人の方はこんなお家に泊まれたら嬉しいでしょうね。
古い建物が好きな私も嬉しいに違いない。笑
昔ながらのお菓子屋さん。
いいなあ。
奥では今でも毎日お菓子を作っている雰囲気で、高級店じゃないっていうところが(失礼!)、またいい。
路地の猫も気持ちよさそうです。
エアコンの室外機の上は、やっぱりあったかいのかな。
おうち観察を楽しんだ後はバスに乗り込み、洛西へ。
ちなみに京都駅からの73番、83番の「鈴虫寺行き」バスが便利でした。
京都駅からなら、鈴虫寺まで約1時間というところでしょうか。
途中バスが嵐山を通りかかった時、つい写真を撮ってしまいました。笑
やっぱりこの広々とした景色と渡月橋、いいですよね。
終点の鈴虫寺・苔寺のバス停に着くと、すぐに目に入るのが、この建物。
この時点ではわからなかったのですが、後でネットで調べてみると、ここは竹職人の方が27年間かけてすべて手作りしたものだそうです。
「かぐや姫がいたら、こんな竹の家に住んでいたかもしれない」とイメージして、竹林に囲まれた建物も内装も、すべて竹でできているそう。
2011年に紹介された新聞記事も見つけました(
こちらです)。
開館は不定期で、基本は予約だそうですが、京都の本当の隠れた名所という声もあるようで、次にこの方面に行くことがあったら、チェックしてみたいです!
バス停から鈴虫寺までは歩いて5分かからないくらい。
竹林と一緒に、わずかに残った紅葉も愛でることができて幸せでした。
さて、お寺に着きました。
鈴虫寺は今回で二度目でした。
最初はもう15年ぐらい前。
お願いごとがかなうお寺なんだよと友達に聞いて、京都一人旅の時に行ってみたのです。
その時は、寒い1月だったにもかかわらず、この階段にずらーっと人が並んでいたのでした。
みんな友達と来ていて、わたしだけ一人、ポツンと階段で無言で立って待っていたなあ。
この日は門の中には少し待っている人がいただけで、階段までは誰も並んでいませんでした。
同じ寒い時期でも12月には、やっぱり旅をする人が少ないということかしら。
仏さまをあんまり近くで撮るのは気がひけて、遠目でパチリ。
階段を登ったところにいらっしゃるお地蔵さんは、珍しくわらじを履いているので、あなたのところまで歩いてきて願いを叶えてくれるのだそうです。
実は最初に来た時のお願いごとはなんだったか、はっきり覚えていないのです。汗
でもこの十数年間、毎日つつがなく過ごせていることのお礼を伝えにいきたいとずーっと思っていたので、ようやく思いが果たせて本当に嬉しかったのです。
鈴虫寺のお参りに行列ができるのは、ただ拝観するだけではないからです。お参りに来た人はみな、鈴虫のいるお堂に入って、お茶とお菓子をいただきながらお坊さんのお話をうかがうので、お話が終わるまでは次の人たちは入れないことになります。
お茶とお菓子が出されるのも、禅寺の茶礼に基づいた考えなのだそうですよ。
前にお参りした時にお話をしてくださったのは年配のお坊さんだった気がするのですが、今回は若い感じのお坊さんが、身近な暮らしの話題から生きる姿勢まで、いろいろなお話を楽しく聴かせてくださいました。
冗談をたっぷり交えてのお話なので、ウケを狙っているのか? と思いがちですが、時々お顔がぐっと真面目になる様子から、やはりお坊さんのお話なんだということがわかります。
聴きやすくするためにおもしろおかしくしてくださっているようです。
この日、特に印象に残ったのは、人からいろいろ相談を受けているご経験から、最近の若い人は「生きるってなんですか?」「死ってなんですか?」と、簡単に答えを求めることが多くなったと感じるというお話でした。
人生そんなに簡単ではなくて、辛いことが起きて当たり前、それを乗り越えて行くものだから、もっと長い目でものを見て日々を明るく過ごしましょう、と。
すぐに答えが欲しくなるのは、スピードアップしたインターネット時代の弊害でしょうか。
何かわからないことがあると、すぐにネットで調べたくなりますが(わたしもよくやっちゃいます)、ちょっとした情報はそれでいいとしても、人生にはすぐに答えが出せないこともたくさんありますよね。
海外生活をしていてネットに頼りがちなわたしも、よく肝に銘じたいと思いました。
何千匹もいるという鈴虫は、この日も美しい音色を聴かせてくれていました。
鈴虫自体は撮影できないので、ご興味ある方はお寺のサイトでご覧くださいね。
お部屋が冷暖房完備なのは「鈴虫のため」だとおっしゃっていましたが、これは冗談なのか本気なのかわからず。笑
お話を聴いていろいろ考えた後は、静かにお庭を見てまわり、お地蔵さまにお願いごとをしました。
ここが鈴虫寺のよいところ。
ただお願いごとをするだけではなくて、お話を聴いて自分を振り返るというプロセスがあるからこそ、その後の生活によい影響があって願いが叶いやすくなるんだと思うのです。
お願いごとはひとつだけと決められていて、お坊さんにお願いの仕方のコツも教えてもらうので、目標の焦点が合いやすくなります。
こういうの、ちょっとしたコーチングですよね?
だから、ご利益がある上に自分でも自然と努力するようになって、ますます願いが叶いやすい!
お天気がよかったのも幸いして、気持ちのよい参拝になりました。
前のお守りをお返しして(やっと!)、元気が出る黄色いお守りを新しくいただいたので、気持ちも新たにがんばります!
どうもありがとうございました。
わたしが鈴虫寺にいる間、夫は別行動していました。
日本語でのお話をずっと聴いていもわからないので、その場にいるのが恥ずかしかったようです。笑
最初はお庭を見ていると言っていたのですが、お話が思った以上に長く続いていたので、鈴虫寺のすぐ近くにある
竹の寺地蔵院というところに行ったそう。
ここはアニメにもなった、あの一休さんが生まれたお寺だそうですよ!
竹林がとてもきれいだったようなので、次回はわたしもぜひ行ってみたいと思います。
あれれ、帰ってきたばかりなのに、行ってみたいところばっかりだな。笑
そんな訳で夫と合流した後は、お茶屋さんでちょっとひと息。
バス停の近くや鈴虫寺を降りてきたところには食事やお茶をする場所がいくつかあって、どこも素朴でいい感じでした。
わたしたちが入ったのは鈴虫寺から降りてすぐ左側にあったお店でした。
外観も店内も素朴で家庭的な雰囲気で、注文してから淹れてくれるコーヒーはなんとブルーマウンテン♪
お店の方もとても親切で、次のお寺に行くまで時間があると話したら、近くの松尾大社に行ってみたら? と近道を教えてくれました。
こういう地元情報、ありがたいですよね。
地図もなく、お店のお姉さんの言葉だけをたよりに、思いがけなくまた住宅街を歩くことになりました。わーい♪
京都市内とはまた違った雰囲気で興味深かったです。
この写真の辺りはかなり古い地域のようで、ここを少し抜けるともっとモダンなお家もたくさんありました。
鳥居にご挨拶しただけで素通りしちゃったのですが、後で調べたら、ここは安産の神様のようですね。
紅葉がきれいに残っていてラッキー♪
乗ってきたバスの中から大きな鳥居が見えて、かなり気になっていた神社です。
鳥居のサイズから、とても広い神社を想像していたのですが、実際に行ってみると意外にこじんまりした落ち着くところでした。
ここでもお正月の準備が着々と。
神社なのに、なぜか般若心経を大声で熱心に唱えている親子がいて、妙にインパクトがあったことが良い思い出として残っています。
何をお祈りしていたんだろう。
神社の裏手には、山を利用した自然に近いところもあって、これがまた美しいのです。
この滝は「霊地の滝」というそう。
ひんやりした空気の中で遠くからの滝の音を聴いていると、心が静かに落ち着いていくのがわかりました。
こういう時、観光客の少ない12月に旅行できるのはラッキーだなあと感じます。
いつまでも静かに境内を歩いていたいところですが、次に行くお寺は予約制で、時間が決まっていたので、そろそろ移動しなければ。
来た道をまた戻って、さっき道を教えてもらったお店の前を通りかかると、お姉さんが走って出てきて、「道、わかりましたか?」と聞いてくれました。本当に親切。
丁寧にお礼とお別れを言いました。
こうして心がぽっとあったまったところで、次のお寺に向かいました。
予約して向かったのは、苔寺。
次回はそのお話をしますね!
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