朝一番にヨークシャーの州都ヨークを出て、北に向かって40キロほど。
その美しさ、荘厳さはヨークシャーで、いえ英国全体でもその名が轟いています。
実は私はここを訪れるのは2回目でした。
インディーがヨークシャー出身で、結婚して初めての親戚を訪ねた時にここにも連れてきてくれたのです。
確か4月でしたが、やわらかな黄色のラッパ水仙が満開でした。
ロンドンではとっくにラッパ水仙の季節は終わっていたので、北に来たんだなあと実感しつつ、可憐な歓迎がとても嬉しかったことをよく覚えています。
が! 実はお屋敷やお庭については、大きさ、美しさ、豪華な様子にただただ驚いたことしか覚えていませんでした。
カントリーハウスを訪ねるのが初めてだったので圧倒されちゃって。
ですから、英国で初めて訪れた思い出のカントリーハウスを再訪することできて、本当に嬉しかったのです。
この日は、お庭より先に建物を案内していただいたので、今日はその美しい建物を写真満載でご紹介しますね。
「カースル・ハワード」という名前ですが、調べてみると日本語では「ハワード城」という表記もあるようですね。
でもうかがったところでは、「カースル(castle 、お城)」は名称として付いているだけで、お城として使われたことはないということだったので、ここでは英語のまま「カースル・ハワード」にしたいと思います。
見学者の入り口部分から見た壮麗なカースル・ハワード。
重々しい建物が曇り空の下にドラマチックにそびえていました。
カースル・ハワードのこの建物は、17世紀の終わり、1699年に第3代カーライル伯爵であったチャールズ・ハワードが建設を始めました。
その後、現在に至るまでずっとハワード家が実際に住んでいるという「ファミリーホーム(family home、家族の住む家)」なので、ご家族がお住いの部分は見学できません。
でも華麗な建物としての見どころはほとんど公開されているのでご安心を。
そして私たちが見学できる部分にも、家庭的な温かさもたっぷり感じられたのが印象的でした。
こちらはお庭側から見た建物。
この建物の設計に当たったのはカーライル伯爵の友人、ジョン・ヴァンブラ(John Vanbrugh)で、その補佐には当時のこれまた有名な建築家、ニコラス・ホークスモア(Nicholas Hoorksmore)。
途中で伯爵やヴァンブラが亡くなったりしたこともあり、この大きな建物の建設は家族3代にわたって続いたそうです。
初めは華麗な装飾が特徴のフランボイヤン様式で作られていたのに、18世紀になるとよりシンプルな形式で建設が引き継がれて、ひとつの建物の中で様式の変化が見られるとのこと。
なんだか壮大な話ですねぇ。
専門的なことはともかくも、私たちが見ると、一番に気づくのがこのドーム部分ですね。
さて、いよいよ中に入ってみましょう。
入ってすぐにある大階段。
自然光がたっぷり入るようになっているこの天窓、なかなかモダンな感覚だなと感じました。
古い建物は内部が暗いことも多いので、これは新鮮でした。
大階段を上がったところには、ご家族の肖像画や彫刻などが。
さらにはアンティークのコレクションも。
どれも立派なものなのですが、私としては、すぐ横にあったこっちが気になりました!
コレクションの数が多すぎて写真に収まりきれない!笑
この立派な戸棚の中に美しい陶器がたくさん飾られていて圧巻でした。
私の背の2倍はありそうな棚自体も、ピカピカに磨かれていて感動的です。
建物も優美ですが、装飾品も美しい♪
一般公開された部分は、ご家族はふだんお使いにならないのでしょうが、それでもこんなところがご自宅だなんて、改めて羨ましいと思ってしまいます。
こちらは「レディー・ジョージーナの寝室」。
天蓋付きのベッドのたっぷりしたドレープがエレガントで美しい。
女性の寝室らしく、さりげなくお花が置かれているのもすてきです。
お屋敷のあちこちに飾られたお花は、大きなものも小さなものも、ほとんどお庭から摘んできたものだそうですよ。
お部屋の装飾は細部にも凝っていました。
こんな風に装飾してある鏡は初めて見ました!
こんな年で恥ずかしいけれど、オトメ心がキュンキュンしちゃいました。
鏡台の上にブラシや手鏡が置いてあるというのも、当時の暮らしへの想像がかきたてられますね。
こういうちょっとした気配りに、管理している方たちの温もりを感じます。

この右側のお人形(というか、紙でできているのですが)、これまた当時の生活への想像を掻き立ててくれます。
ところどころに、こんなニクい仕掛けがありました。
こういうゴージャスなお部屋もありますが、もっと家庭的なお部屋も。
普通の家庭に比べたら十分エレガントではありますが、今回のツアーで見学したお屋敷のうち、こういう小さな居間を公開していたのは、ここだけでした。
こういうサイズのお部屋には自然と親しみもわきますし、調度品も比較的モダンなので、現代に生きる庶民の私でもくつろげる気がしちゃいます。

こじんまりした食卓が展示されているのも、やはりお屋敷見学ではわりと珍しいことです。
見学コースにあるのはたいてい、晩餐会が開かれるようなお客様用の豪華なダイニングルームなのです。
ついご家族だけ、あるいは気のおけないお友達との食事を想像してしいますよね。
このお部屋自体は広いので、大人数のお客様をもてなすダイニングテーブルを置くことは十分できるのです。
でもあえて小さめのテーブルを置いているのは、「家族が暮らす家」を大切にしていらっしゃる現在の当主の方のお気持ちの表れかな、なんて妄想しまいました。
それぐらい家庭的な温かさを感じたのです。
ここは見学者は入れない場所ではありましたが、棚の上に雑然と積まれている本の山には生活感があって、かえってご家族に親しみを感じます。
これでこそ、「暮らしている家」ですよね!
でも、やっぱりカースル・ハワードは華麗なのです。
ご覧ください、この荘厳な広間を!
(写真提供:Castle Howard ©Peter Smith)
先ほど、建物の写真にあったドーム部分がここにあたります。
ここがもともとの玄関口だったそうで、外から入ってきてすぐにこのホールを目にしたら、度肝を抜かれちゃうでしょうね。
こういうところにお呼ばれした方々は、ご自分も豪邸にお住まいで、そんなに驚かないのかな。笑
私なら口をぽかんと開けて、上を見上げちゃいそうです。
この周辺は装飾も特に凝っていました。
そしてありがたいことに、その凝った装飾のすぐ近くまで上がって、繊細な美しさを間近に見学することができるんですよ。

カースルハワードでは1940年に大火災があり、ドーム部分や他の20部屋ほどが被害を受けてしまいました。
ドームが完全に修復されるにはその後20年もかかったそうで、修復した時の様子を展示で見ることができます。
実はこのカースル・ハワード、イーブリン・ウォーの小説『ブライズヘッドふたたび(Brideshead Revisited)』(『回想のブライズヘッド』というタイトルもあり)のドラマと映画のロケ地としても有名です。
それぞれの文字をクリックしてリンクを見ていただくとわかりますが、どちらのDVDもジャケットにカースル・ハワードが写っていますね。
このドラマや映画を撮影した時の写真なども、同じ場所に展示されていましたよ。
ああ、本当に美しいカースル・ハワード。
まだまだご紹介したいところがあるので、お屋敷についてもう一回書かせてください。
次回はとても有名なチャペルを中心にお話ししますね。
日本でも有名なあのウィリアム・モリスが手がけたチャペルなんですよ♪
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