チャッツワース・ハウスは時代ものの映画のドラマがたくさん撮影されている本当にゴージャスなカントリーハウスなのですが、私たちが泊まった敷地内のキャベンディッシュ・ホテルからは、緑の中を歩いて行けるんですよ。
ちょっと贅沢な気分ですよね。
ホテルの正面から緑の中を下って、さあ出発!
前の日には牛の姿も見えていた緑地の中を歩いていきますよ。
ちょっとした丘もあったり、牛や羊も歩いていたりして、自然のままの緑地に見えますが、やはりお屋敷の敷地内なので、ちゃんと管理されているようです。
あれ? これは何でしょう?
これはキシングゲート(kissing gate)とというゲートの一種。
扉を開けたり閉めたりして、人間でさえ一人ずつしか通れません。
あえて複雑な造りにすることで、牛や羊などの家畜がこの先に行かれないようにしているのです。
パブリック・フットパス(私有地や国有地であっても、一般の人も通れるように指定された山や緑地の中の道)などでよく見られるのですが、この冗談みたいに不思議な造りのゲートの扉を開けたり閉めたりしている人のぎこちない動きを見るたび、私はなんだか笑いが込み上げてしまいます。
実はこの日はあいにくの雨。
しかも、こんなに降っていました。
お屋敷に着く頃にはやむといいなあ。
でも雨のおかげで、遠い丘が美しく煙って見えます。
しっとりしてとてもきれい。
雨の中を40分ぐらい歩いたでしょうか。
足元が良ければもう少し早いと思いますが、雨が降っていたにもかかわらず、この朝のお散歩が本当に気持ちよかったのです。
しかも広い広いお庭を歩いてお屋敷まで行くなんて、優雅な時代にタイムスリップしたようですてき。
あ、なんだか建物の一部みたいなものがありますよ。
後でわかったことですが、チャッツワース・ハウスでは今回のツアーのテーマである
ケイパビリティ・ブラウンはじめ、数々の著名な造園家が雇われていたので、その度に新しい試みがあったようです。
だからこの建物も、一度は使われていたけれど、今は使われなくなったものかもしれません。
とてもきれいにメンテナンスされていましたが。
ああ、やっとお屋敷が見えてきました。
車で来る人が多いので、歩いていた私たちは芝生の上をそっと歩くことに。笑
これも、歩いてこられるホテルに泊まっていた特権ですね!
あら、さすがにすてきなお屋敷! と思わず叫んだら、「これは厩舎、つまり馬小屋だよ」とリーダーのスティーブに言われてしまいました。汗
私たちが着いた時、この場所から見える側のお屋敷が修理中で、白い幕がかかっていてよく見えなかったのです。←言い訳
馬小屋だけでこんなに立派なら、お屋敷はどんなにすごいんでしょう。
こちらがお庭側から見たお屋敷。
私の写真だとスケールがわかりにくいので、チャッツワースのパンフレットの写真をお借りすると、こんな感じです。
遠くに見えているのに、この存在感。
本当に大きくて立派なお屋敷です。
チャッツワース・ハウスは貴族であるデヴォンシャー公爵家のカントリーハウスとして、16世紀頃からダービシャーのこの地にありました。
今も現在のデヴォンシャー公爵のご家族がここにお住まいです。
チャッツワース・ハウスでは、庭師の方と、ダービシャーの観光協会の方がお庭を案内してくださいました。
私としてはお話を一生懸命聞いたつもりですが、この後かなり雨が激しくなり、傘をさしたり、傘に当たる雨の音が大きくなったりで、せっかくしてくださったお話が実はあまり聞こえなかったのです。
なので今回は、私が聞こえた範囲のことに、パンフレットやサイトに書かれていることを加えてご紹介しますね。
入口を入ってすぐにあるこの建物は、ビクトリア時代に作られた大温室で、当時はイチジクや桃やあんずが育てられていたそう。
やはり今回のテーマであるケイパビリティ・ブラウンの設計ではなく、その後のビクトリア時代のやはり有名な造園家であるジョセフ・パックストンのもの。
白い枠とガラスがビクトリア時代らしく、なだらかな坂にそっていて建てられているのも優雅ですね。
こちらはお屋敷の南側にある「タツノオトシゴの噴水」。
柵の向こう側も丘もここのお庭です。
ちなみに、手前側は英語で「ガーデン」、向こう側は「パーク」と呼ばれていて、パークの方がより自然に近い形になっているそう。
広いガーデンとパークを眺めてゆったりした気持ちに浸っていると、庭師さんから驚くべき発言が。
なんと向こう側のパークの丘に植えられた木々、すべて美しく見えるようにケイパビリティ・ブラウンが計算して植えたそうなんです!
つまり、どこにどのお花を咲かせるかをデザインするように、どこにどの木を植えるかを設計したのです。
これこそが造園の魔術師と言われるブラウンの仕事ぶりということでしょうか。
細かいというか、壮大というか!
さらに驚くことに、この丘に植える木を設計するにあたり、そこにあった村の建物が景観に入ってきて邪魔だと思ったブラウンは、その村ごと移動させてしまったそうなんです!
その村には、このお屋敷で働いていた使用人も多かったので、ただ立ち退かせただけではなく、「村ごと移動」したのだそうです。
なんて大胆なやり方でしょう。
ちなみにチャッツワース・ハウスの帰り道、私たちもこの「移動された村」を通過したのですが、300年の時を経て、今ではすっかり落ち着いた風情になっていました。
今では、前はどこに村があったか、知らない人もいるのかもしれません。
こちらの「皇帝の噴水」は、ロシア皇帝を迎えるためにビクトリア時代に作られたもの。
外国の皇帝が家に来るって、やっぱりデボンシャー公爵家、すごいですね。
高さは90メートルに達したという記録もあるそうで、本当に壮大な噴水で、チャッツワースのお屋敷と一緒に写真に写っているのをよく見かけます。
そのすぐお隣りにあるアベニュー。
並木道のことでしたね。
ここに使われている木は葉っぱの色が明るくて、どんよりしたお天気でも写真にきれいに写ってくれました。
こちらは17世紀からあるリングポンドと呼ばれる丸い池。
池には鯉も泳いでいて、とても平和な雰囲気なのですが、なんといっても目に止まるのが、これ。
この力が抜ける形がたまりません♪笑
どうしてこの形にしたんでしょうね。
ユーモラスで、思わず微笑んでしまいます。
それにしても、この風景が、すべて計算されたものだとは。
今こうして写真を見ても、改めてスケールの大きさに驚いてしまいます。
こちらも17世紀に作られた有名なカスケード(滝)。
お庭の中にどーんと横たわって私たちの目を引きます。
こんなに大きいのに、なだらかな丘に合わせて水が穏やかに流れる様子がとても優雅でした。
少し雨が止んでくれたので、ちょっとカスケードの裏側の方に登ってみましょう。
先ほどまであんなにかっちりしたスタイルだった庭園が、一気に山の中にいるような大自然の雰囲気に変わりました。
雷に打たれたような木もあって、なかなかワイルド。
でももちろん、木がこういう状態になっているのを庭師さんは把握していて、ベストなタイミングと方法で回復させようとしているようです。
こんな自然の中に、突然モダンなオブジェが現れました。
さすが豪邸のお庭。
山の中にいるようでいて、やはりきちんと目が届いていることが示されています。
と、この辺りでまた雨が激しくなってきました。庭師さんの声がまったく聞こえてなくなってしまったし、傘をさしていても濡れるほどだったので、とりあえず屋根のあるところで雨宿りすることに。
途中見えてきたコテージ・ガーデン。田舎風ガーデンという感じでしょうか。

今回のツアーでお庭をたくさんめぐって気づいたのは、野菜やハーブを栽培するキッチンガーデンや、家に飾る花を栽培するお庭が設けられているお屋敷が多いこと。これだけ大きなお屋敷だと、お花もたくさん必要になりますもんね。庭師さんのお話では、ここで咲いたお花がお屋敷の中で使われているそうです。


私たちがうかがった時は6月だったので、夏の草花が真っ盛り。
雨に濡れるのも忘れて、つい写真を撮ってしまったのは私だけではありませんでした。
みずみずしくて可憐で、本当にかわいらしいですね。
ここで、動物大好きな中国のトムくんが「あっ」と言うので、声がした方を向くと、こんなかわいい方が私たちを出迎えてくれていました。
野生のキジ。鮮やかな赤や緑が目にまぶしいほどでした。都会近郊ではほとんどお目にかからないキジが優雅に歩き回る姿を、みんなでしばし静かに見つめました。
この日はもっとお庭の奥まで案内していただく予定だったのですが、雨がおさまらなかったので、お庭の方はここで断念することに。
この奥には、木々をトピアリーのように美しく刈って使った見事な緑の迷路や、2015年に大改造した「マスの流れ(Trout Stream)」という小川を中心としたお庭やロックガーデン(岩庭)などなど、見どころ満載のお庭なので、とても残念。
でも帰ってきてから、チャッツワースハウスがYoutubeで公開している晴れた日のお庭の映像を見つけたので、よかったらこちらでお楽しみくださいね。
映像と音楽だけで、40秒ほどの中にチャッツワースのお庭の美しさがギュッと詰まっていますので、是非是非♪
チャッツワースのお庭の魅力は、東京ドーム約9個分の広い敷地に繰り広げられた優雅で、かつ大胆な美しさ。
ひとつひとつの造りは優雅で繊細であるのに、規模が大きいのでダイナミックにも見えました。
英国でも有名なチャッツワースのお庭、冬の間は見学できませんが、今年は3月25日からまた公開されます。
この広くて美しい庭を散策しながら、村ごと動かしてしまったケイパビリティ・ブラウンの大胆な仕事ぶりをご自分の確かめてみるのはいかがしょう?
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