北イングランドの英国ガーデンをめぐる旅その6 お屋敷もゴージャス! ライムパーク(チェシャー州)お屋敷編

少し間が空いてしまいましたが、VisitBritainさんのプレスツアーに参加させていただいた北イングランドの英国ガーデンをめぐる旅のレポートを続けますね。

ちょっとおさらいすると、これまではこんな感じで進んでいました。


見学としては初日だったこの日、ライムパークでは大雨になってしまったので、お庭の見学を切り上げて、急きょお屋敷を見せていただけることになりました。
さて、ライムパークのお屋敷、どんなにゴージャスなんでしょうか?
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お庭と反対側から見たお屋敷。
入場する時には、駐車場から歩いて、こちら側から入ることになります。
すでに大きくて立派なお屋敷であることがよくわかりますよね。

お庭の話の時にも書きましたが、ライムパークは、慈善団体ナショナルトラストに運営が委託される前は、600年以上にわたってリー家が住んでいたお家。
今のお屋敷は19世紀に建てられたイタリア様式の建物です。

前回に、ライムパークのお庭でBBCのテレビドラマ『自負と偏見(Pride and Prejudice)』(1995年)を撮影したと書きましたが、契約の関係で、ここでの撮影はお庭だけだったそう。
テレビドラマを見直してみると、確かにお屋敷の中のシーンは私がこの日見たものと違うお家が使われていました。

それでも! お屋敷の外部はしっかり使われているので、今回もドラマで撮影された場所をしっかり見学することができました。
どこで出てくるか、お楽しみに。笑

お屋敷に入ると、最初に広がるのが、このエントランスルームです。

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お客様を迎える部屋かと思いきや、20世紀の初め頃には、本を読んだり、食後にゲームをしたりするのに使われた部屋でだそうで、さらに毎年大晦日に開かれる使用人のパーティーにも使われたそうです。
多くのお屋敷と違って、リー家ではこの大晦日の使用人のパーティーに一家も参加したそうで、使用人たちとの温かい関係を築いていたことがうかがえ、そんなところも『自負と偏見』での心優しい領主であるミスター・ダーシーと重なって、私はますますニンマリ。
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このエントランスルームにある『ブラック・プリンス(黒い王子)』の絵は、裏側を蝶つがいで止めて、この部屋の方に少し出っぱるように細工されています。
不思議でしょ。
お隣りの部屋の方からみると、こんな感じなんです。
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少し上から見下ろすように、エントランスルームを見ることができます。
隣りの部屋とのつながりを表しているようなのですが、大晦日のパーティーをしていて新年が来た時には、ここから領主が「あけましておめでとう!」などと下の部屋にいる人たちに挨拶したのではないかとも言われているそうです。
なんだか華麗な映画の世界みたいですね。
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そしてこちらが、そのお隣りの部屋、ドローイングルームです。
ドローイングルームというのは食事の後にコーヒーを飲んだり、おしゃべりをしたりする部屋ですが、家族だけの時はここで食事をすることもあったそう。

一見してわかる美しいお部屋は、凝った細工が施された木製の壁パネルやステンドグラスなど、見事なエリザベス朝のクラシックな内装。
天井までしっかり石膏細工で飾られていて、21世紀の私たちには「やり過ぎ(笑)」にも見えますが、そこがこの時代の良いところなのです。
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天井の細工もきれいでしょ。
しっかり深い色の木のパネルや、薄明かりしか入らないステンドグラスのおかげで、お部屋が全体に暗く感じられるのもこれまたこの時代の特徴。
中世に設定された映画やドラマを見ていると、なんだか全体に暗かったりしますが、これはまだ電気がなくてロウソクの灯を使っていたからだけではなく、装飾の色も暗めだったこともあるんじゃないかと私は思っています。

そして、壁にも何気なくこんな風に肖像画が。
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とにかくあちこち凝っていて、ため息が出るほど美しいお部屋でした。

エントランスルームのちょうど裏側あたりにダイニングルーム(食堂)があります。
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この食堂では、ずいぶんたくさんの方をおもてなししたんでしょうね。
ロイヤルファミリー、あるいは関係者もいたんじゃないでしょうか。
現在ここで展示されているのは、20世紀初頭のテーブルセッティングだそうです。

そしてお庭にも面した角部屋にある明るいライブラリー(図書室)。
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色も風合いも本棚や壁との相性が良いカーペットが敷かれたこのお部屋。
壁という壁が全部本棚になっていました。
本当に居心地よく落ち着く部屋で、椅子にどっかり座って本を広げたい衝動にかられました。
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お部屋の角にあるソファー。
ここで本を読み始めたら、寝転がったり座ったり、たまにお庭を眺めたりしながら、1日があっという間に過ぎてしまいそう。
ああ、すてき♡

私たちは早足での見学だったのでゆっくりはできませんでしたが、お部屋に置いてあった説明によれば、どうやら本当に座ってゆったり過ごしてよいようです。
そういえば、椅子の上に「座らないで」という表示はなかったし。
こういうところ、イギリスは懐が深いなあと思うのです。
いいよ、と言われても、こちらの方が気兼ねしてしまいそうですが。

よし、次に訪問したら、絶対にここでゆっくりしよう! 
本まで取り出していいかどうかわからないので、本は自分で持っていくことにします。笑
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本の所蔵シール(っていうのかな)が無造作に置かれている演出もニクいですね。
家に人が住んでいた頃のことを妄想できて、すてき。
このシール、1枚いただきたかったのですが、つい遠慮してしまっていただけず。
よし、次はこのシールもいただこう!笑

後ろ髪引かれつつ心地よい図書室を後にすると、今度はゴージャスな階段がどかーんと目の前に現れました。
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こういう階段を見ると、ヨーロッパだなあと思うのです。
日本の古い建物は造りも違うので、階段ももっと急で狭いものが多いし、あまり壁に絵を飾ったりしていませんよね。
どちらがいいというのではないし、日本の古い建物も大好きですが、こういう壮大な階段を見るたびにヨーロッパの貴族の優雅な生活を思い浮かべて、またまた私は妄想の世界に入ってしまいます。笑

ちなみに、この日のライムパークは、お天気のせいか入場者が少なかったので、どこに行ってもかなり自由に写真を撮ることができました(フラッシュを使わなければ撮影可)。
お屋敷の中は庭師のギャリーさんの案内もなく、それぞれで自由に見て回ったので、たまに道に迷いそうになりましたが、要所要所にボランティアの方が立っていて、とても親切に案内してくれたのが印象的でした。

ボランティアの方は年配、あるいはお年寄りが多いのですが、何か質問すればとても丁寧に答えてくれるし、外国人にも慣れているのか、英語が出てこなくて戸惑っていても、みんなニコニコしながら待ってくれます。
あったかくていいなあ。
「この先の左側をぜひ見てみてくださいね、私の大好きな場所なの」なんていう風に案内してくれる方も多くて、みなさん、このお屋敷を知り尽くして、愛している感じが伝わってきました。
お屋敷で働く人たちに愛されているというのも『自負と偏見』のペンブローク(ミスター・ダーシーのお屋敷)と同じだ、とまたまた一人、妄想の世界へ。笑

リー家が過ごした600年という歴史の中では、お屋敷でも時代によって新しい発明や流行を取り入れてきたと思いますが、今、ライムパークで展示に力を入れているのは、現在のお屋敷が最も影響を受けているというエドワード朝の時代。
ビクトリア女王の長男だったエドワード7世の時代(1901年から1910年)で、栄華を極めたビクトリア時代に続き、ファッションなども華やかだったことで知られています。
大人気のドラマ『ダウントン・アビー』の最初のシーンは1912年なので、そのほんの少し前ですね。
そういえば前回ご紹介した庭師のギャリーさんも、エドワード時代の出で立ちで私たちを迎えてくれたんでしたね。
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ダウントン・アビーの時代より、ほんの少しクラシックな感じでしょうか。
希望者には、この時代のお洋服を着つけてくれるサービスもあり、とても興味があったのですが、鏡に映った髪が黒くて鼻がぺったんこな自分を見たら、想像と違ってがっかりしちゃうに違いないと思ってやめておきました。笑
妄想は妄想のままでとっておくのがいいのかもしれません。

さてお屋敷めぐりの方は、マナーハウスによく見られるロングギャラリーへ。
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こんな長くて大きなお部屋、きっとパーティーを開く会場だったんだろうと思いがちですが、実は基本的にお天気の悪い日に運動するために作られたお部屋、そして家族の肖像画を飾るお部屋だったのです。
こんなにゴージャスなお部屋で運動なんて、ちょっとびっくりしますよね。

特にライムパークに住んでいたリー家では、19世紀から20世紀にかけて、この部屋で家族で劇をして楽しんだのだそうで、パンフレットには劇の衣装を着た家族写真も載っていました。
微笑ましいご家族ですね。

先ほどのエリザベス朝のドローイングルームと同じような細工の施された天井、美しい樫の木製の壁パネル、磨き上げられた床にカーペットにシャンデリア。
ここで運動したり、劇をして遊んだりするなんて、なんとも贅沢な気分になれそうですね。

羨ましいような貴族のゴージャスな生活は、お屋敷のあちこちで見られますが、寝室ももちろん豪華な装飾でした。
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絵本でお姫様が寝ているのを見たことのある天蓋つきベッド、しかも細かい装飾が施されていて、木の細工がしてある天井も優雅ですね。

天蓋つきベッドはお姫様だけでなく、男性も使うのですが、私が昔のベッドを見ていつも不思議に思うのは、そのサイズ。
意外に小さいと思いませんか?
昔の人は今より小さかったのかな。
今の平均的イギリス人男性なら、足がはみ出しちゃうと思うのです。
それとも、気持ち良くうずくまって寝るのが一般的だったのかしらん。
ミスター・ダーシーもうずくまってお休みになったのかしらん。

ライムパークのお屋敷は、廊下だってゴージャスです。
こちらはブライト・ギャラリー(Bright Gallery、明るい廊下)と呼ばれるところ。
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美しい家具や鹿の角のような調度品に加えて、ギリシャ/トルコ風の戦いの場面が表現された石膏の装飾も見事で、まるで美術館にいるようでした。

美術館といえば、まるで博物館の展示のようにかわいらしかったのが子供部屋。
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ウィリアム・モリスの壁紙、細部までよくできているドールハウス、ハンガーにかけられた上品でかわいらしい子供服、自宅で勉強する小さな勉強机、兵隊さんをかたどったおもちゃ、無防備で愛らしい表情のぬいぐるみ、当時としては精巧だったであろう地球儀。
どれをとっても夢のようにかわいらしくて美しくて、恵まれて育つ幸せな子供たちの笑顔が目に浮かぶようです。
幸せな気分のおすそ分けをいただいて、私もポワンと豊かな気分になりました。

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そして、その子供部屋からも見下ろすことができるのが、このコートヤード、中庭です。

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『自負と偏見』のドラマをご覧になった方は、あ! とお気づきなのでは?
そうです、おじさん夫妻とペンバリーを訪れたエリザベスが偶然にもミスター・ダーシーと顔を合わせてしまい、慌てて立ち去ろうとした時に、ミスター・ダーシーが彼女を引き止めるためにこれまた慌てて庭に出ようとする時に通るのが、この中庭です。

イタリア様式によっているので、あまりイギリスらしくはありませんが、それがかえってお屋敷の高級感を高めているように思いますし、ドラマの中でもこの中庭の景色は印象深く記憶に残りました。

このように、ライムパークのお屋敷はため息の出るほど絢爛豪華なのですが、小さなお子さんが入場しても飽きないように、こんな風に子供用の部屋も用意されていました。
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ナショナルトラストが管理しているお屋敷や公園は、たいていどこにも子供用の部屋があり、本当に配慮がよく行き届いていて、いつも感心してしまいます。

お土産ものも充実していましたよ。
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もちろん、ほかのものもたくさんありましたが、やっぱりここでは『自負と偏見』もの、コリン・ファースものは欠かせませんよね。

ライムパーク全体としては大人気ドラマのロケ地であることをそれほどアピールはしていません。
それでも、前回のお庭の話の時にも触れた「ミスター・ダーシーはライムパークで濡れたけれど、私は濡れませんよ」という傘に書かれたメッセージのように、お茶目な形でちょこちょことドラマに触れており、それがまた私にはとても心地よく感じられました。

今回いただいたプレスツアーの資料も、このエコバッグに入っていたんですよ。
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This bag came from Pemberley... Or was it Lyme Park?
(このバッグはペンバリーで買いました。あれ? ライムパークだったかな?笑)

それほどライムパークがペンバリー(小説の中のミスター・ダーシーのお屋敷)として撮影されたというのは有名なんでしょうね。
そしてもちろん、『自負と偏見』自体も広く知られているのでしょう。

『自負と偏見』のファンとして、コリン・ファースのファンとして、一度は行ってみたかったライムパーク。
実際に行ってみると、ファンとしての好奇心が満たされたばかりでなく、そのお庭やお屋敷の魅力にすっかり魅了され、大いに楽しませてもらいました。
見た目のきらびやかな美しさはもちろんですが、それを今も支える方たちの温かいぬくもりも感じられた本当にチャーミングなところ。
憧れの場所が思った以上にすてきなところだったので、大満足の訪問でした。
ああ、今思い出しても幸せです♡
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すてきなライムパークを後にして、私たちはホテルに戻り、あらかじめ予約してもらったパブに夕食に出かけました。
その様子は、また次回。
お楽しみに♪


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by londonsmile | 2016-11-05 20:31 | Visit Britain | Trackback | Comments(0)

londonsmile、ロンスマことラッシャー貴子です。翻訳をしています。元気な英国人夫とのロンドン生活も早いもので17年目。20歳の時に好きになったイギリスが今も大好き。英国内旅行や日々のいろいろを綴っています。お仕事の依頼や写真掲載のご連絡は非公開コメントでお願いします。無断掲載はご遠慮ください。


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