今、ロンドン塔のお堀が赤いポピーで埋め尽くされています!
これは第一次世界大戦勃発から100年の今年、特別に行われたアートの展示。
かなり話題でめちゃくちゃ混んでいると聞いたのですが、ご近所の奥さんが「やっぱり近くで見ると感動する!」と言っていたのを聞き、やっぱり遅まきながら私も見に行ってみました。
そしてやっぱり感動しましたよ!
近づくと、陶器で作られたポピーの鮮やかな赤が目に飛び込んできます。
でも、ここまで近づくには、人をかきわけたり、辛抱づよくフェンス際の場所が空くのを待ったりして、大騒ぎ(笑)。
女王様が見学されたりしたこともあって大評判になり、今週のこの日も本当に混んでいました。
もともと観光客で大賑わいしているロンドン塔周辺ではありますが、それににしてもこんなに混んでいるのは初めて見ました。
私の最寄り駅に既に「ポピーの見学で大変混雑しているので、(ロンドン塔の最寄り駅の)タワーヒル駅は使わないでください!」というポスターがあり、そんなオオゲサな、と思いましたが、この日は午前中にもかかわらず、本当に周辺駅(私はモニュメント駅を利用)から既に混み始めていましたよ。
最寄り駅は、あまりの混雑のために何度か閉鎖されたそうです。
(右側は戦没者に関する詩のようです:For The Fallen by Laurence Binyon)
さて、なぜ赤いポピーが飾られているのか?
ちょっと長くなりますが、まずは背景を少し説明させてくださいね。
毎年この時期になると、イギリスでは11月11日の戦没者追悼記念日(リメンバランス・デー、Rememberance Day)に向けて、赤いポピーのバッジを胸に付けます。
こんな風に。
こちらはキャメロン首相(The Guardian紙から拝借した写真です)。
その他、ニュースキャスターも、政治家も、一般の人も、タクシーの車にも、いろいろなところでこの赤いポピーのバッジを見かけます。
(ちなみにスコットランドの赤いポピーには葉っぱがないとか。
こんなところにもスコットランドの独自性が出ているんですねぇ!)
もともと赤いポピーは、第一次世界大戦の激戦地だったフランダース地方にポピーがたくさん咲いていて、赤い色が血を思わせることから、戦没者追悼のシンボルとして使われるようになったそうです。
日本の赤い羽根に似ていますが、赤いポピーが戦没者のシンボルとして定着している背景があってのバッジ販売なので、赤い羽根よりももっと規模が大きいというか、もっと人々の心に深く浸透しているようです。
寄付だけでなく、戦没者を思ってポピーを身につけること自体に誇りを感じている人も多いみたいだし。
日本だと赤い羽根に寄付してもそれを身につけない人(特に男性)も多そうですよね。
ちなみにバッジはプラスチック製、金属製などがあり、1つ2ポンド(約360円)から5ポンド(約900円)ほどのようです。
(スーパーなどで独自のものを作っているところもアリ)
赤いポピー自体が戦没者のシンボルなので、戦没者追悼記念日が近づくこの時期、バッジの他にも、あちこちにこのポピーが使われます。
市内で無料で配布されている
Evening Standard紙が名前の部分に大々的に赤いポピーを表示したり(下の写真)、毎年行われる戦没者追悼の式典でも赤いポピーを供えたり。
上の写真の地下鉄のポスターも、右側の詩の引用の周りには赤いポピーが描かれていますよね。
と、長くなりましたが、そんな背景の中、今年は第一次世界大戦勃発から100年ということで、このBood Swept Lands and Seas of Red(「血に染まった土地と赤い海」)と呼ばれるインスタレーションがロンドン塔に設置されたというわけです。
(はー、長かった!全部読んでくださった方、お疲れさまでした)
このインスタレーションのポピーは陶器で手づくりされていて、8月からロンドン塔のお堀の部分にひとつひとつ設置されてきました。
ポピーの数は第一次世界大戦で命を落とした英国軍人の数と同じ88万8,246本というものすごい数。
(英国軍人にはカナダ、オーストラリアなど大英帝国時代の植民地からの兵士を含むようです)
一気に完成させず、ひとつずつ丁寧に設置し続けて、追悼記念日の11月11日に最後の1本を植えて完成するというのもポイントのようです。
88万本以上のポピーは、ロンドン塔の周りを三方ぐるっと囲んで、圧巻です。
空中から撮影したと思われる写真でご覧下さい。

(写真はサイトから拝借しました)
ね、向こう側に見えるタワー・ブリッジやテムズ川の大きさと比べても、すごい規模でしょ。
この赤いポピーがシンボルとなった戦没者追悼、もともとは第一次世界大戦の犠牲者を対象にしていたものの、最近では第二次世界大戦の犠牲者も含む、とか、英国だけでなく他の国、敵国さえも含む、という解釈も出ているようで、世界平和を祈る動きにも通じるものがあるようです(←あくまで私が周囲の人から得た印象です)。
実を言うと、引っ越して間もない頃には、この戦没者追悼をあまり素直に見ることができませんでした。
日本が戦地になっていないせいか、第一次世界大戦と言われても私にはあまりピンと来なかったし、さらには第二次世界大戦では日本は英国の「敵」だったので、なんだか罪悪感があって。
(こちらでは今でも第二次世界大戦の戦勝記念日を祝う地域もあって、そういう場面に遭遇すると、ちょっと居心地が悪いのです)
でも最近になって、戦争で犠牲になった人全般を追悼するという大きな解釈も一部にあると知り、そういうことなら参加したいなあと少しずつ思えてきたところです。
まだバッジを買ってみたことはありませんが、来年はやってみようかなあ。
このインスタレーション、先ほども言ったように本当に大混雑で、お堀の周りをさらに人がぐるりと取り囲んでいます。
普段のロンドン塔には外国人観光客が多く、英語が聞こえることの方が少ないくらいですが、この日はずいぶん英語が聞こえ、そしてやはり年配の方が多かったと思います。
上の写真端に写っているのが陶器のポピーの見本。
これを1本25ポンドで買うと、展示が終了した後にポピーが手元に送られてくるそうです(現在ではポピーの販売は終了している模様)。
知り合いの方は自分用、息子さん用、娘さん用と1人で3つ買ったそうで、身近に犠牲者がいる方はこうして戦争の悲惨さを忘れないようにするのかもしれません。
この大きなインスタレーション、近くで見ると、お堀を埋め尽くす赤い色はやはり圧巻。
これだけたくさんの数の命から、こんな風に血が流れたんだと思うと、本当にとても切ない気持ちになります。
写真で見た時もすごいと思いましたが、そばで見ると胸に迫ってくるものがありました。
ところどころに塀にもポピーが設置されていて、血が流れている様子を思い起こさせます。
ここの部分、正面から写真を撮ってみたかったのですが、それをするには別の列に並び直しになるので断念。
代わりにBBCで見つけたこの写真をご紹介しますね。

(BBCの写真です)
この展示は夜もライトアップされています。
あまりに評判になったので、展示を延長してほしいという声が高く上がり、一部は11月末まで展示を延長することが決まったようです。
(追記:当初、展示期間が延長されると書いていましたが、延長は一部だけだとわかったので訂正しました。
最初に読んでくださってた方、ごめんなさい!)
インスタレーション自体はロンドン塔の中に入場せずに無料で見ることができます。
延長されたとはいえ、本当に混雑しているので、ご興味のある方、できれば早めのお出かけを。
英語のみですが、このインスタレーションの詳細が掲載されたサイトは
こちらをどうぞ。
これほど大規模なインスタレーションはなかなかないし、実際に見ると心の揺さぶられ方が違います。
ロンドンにお住まいの方、あるいは観光でいらっしゃる方、ご覧になってみてはいかがでしょう?
英国人でなくても、きっと何か感じるものがあるんじゃないかなと思います。
明日、日曜日は戦没者追悼の日曜日(Rememberance Sunday:11月11日に一番近い日曜日)で、記念式典や午前11時からの2分間の黙祷が行われます。
世界が平和でありますように。
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今日は長くなっちゃいましたが、最後まで見てくださってありがとうございました。
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