ミステリーの女王が住んだ家

前回ご紹介したTroubadourの帰り、近くにあるブルー・プラークのある場所にお友達に連れていってもらいました。

ブルー・プラークとは、歴史的なできごとがあった場所や著名人が住んでいた場所などに設置されている記念の表示。
建物自体を示すものであって、ほとんどの場合は今は一般の人が住んでいるので、中を見学できるわけではありません。
私たち日本人に馴染みが深いところでは、夏目漱石が留学中にロンドンで下宿していた家にも設置されています。

そして、この日の著名人は、ミステリーの女王、アガサ・クリスティーでした！

推理小説にそれほど興味がない人でも、アガサ・クリスティーの名前は聞いたことがあるんじゃないでしょうか。
『オリエント急行殺人事件』、『そして誰もいなくなった』など数多くの作品を残した推理小説家で、名探偵エルキュール・ポアロやミス・マープルのような魅力的なキャラクターを生み出したことでもよく知られています。

私はクリスティーの作品が大好きで、たぶん小学生の頃から何冊も読みました。
今思うと、謎解きよりも、20世紀初めの上流階級・中流階級の人達の優雅な暮らしぶりや、その裏にある人間模様に興味があったようで、美しい館の描写を読んではぼーっと妄想しているような子供でした。
トリックにあまり興味がない証拠に、一度読んでもすぐに内容や犯人を忘れてしまうので、同じ本を何度も読み返せる経済的な子供でもありました（笑）。

少し成長してからは、「クリスティーのトリックはたまにズルいことがある」と、おこがましくもミステリーの女王を相手に思うようになりました。
だって、読者にヒントを全部教えてくれないこともあるんですもの！
でもやっぱり美しい描写やイギリスの暮らしぶりが知りたくて、読んじゃうんですけどね。

そんな思い出深いクリスティーが住んでいた家が見られると聞いて、育ちの良い人気作家ならきっと大きな家に住んでいたに違いないと勝手に妄想していました。
が！そこは意外にもこじんまりした建物でした。
彼女がいつ住んでいた家なのかはわからないのですが、あまりにひっそりした家だったので、ちょっとびっくり。
もちろんとても便利な高級住宅地で、クリスティーの時代には自動車も出て来たとはいえ、このサイズの家は大きな家の裏手にあって、馬車の時代には馬を入れたり、召使いが住んだりしていたmew（ミュウ）という場所だと思うんです。
周りは大きなお家ばかりなので、どうしてここに住んでいたのか不思議。
さすがミステリーの女王（笑）。（周りのお家の写真・・・のつもりが、車の写真になっちゃった・笑）

ちょっと調べてみたら、1934年から41年まで住んだ家にもブルー・プラークが設置されているようで、場所はケンジントンというさらに高級住宅街。
どんな風に住んでいたんだろう、どうして家を引っ越したんだろう、なーんて、またまた妄想にふけった午後でした。

彼女は人気作家になってから失踪事件も起こしているし、私生活も謎が多くて興味津々。
ちょうど数日前にドキュメンタリーでクリスティーのことを少し見たところだったので、彼女への興味が私の中でふつふつと再燃中です。
久しぶりに推理小説、読んでみようかな。

おまけ：
クリスティーの家のすぐには、こんな人も住んでいました。
『ピーターラビットのおはなし』で有名なビアトリクス・ポッターが住んでいた家があった跡です。
今では建物は壊されてしまって、その跡に学校が建っているので、ブルー・プラークではなくて、こういう表示になったようです。
ピーターラビットの挿絵がかわいらしいですね♪
ポッターの方がクリスティーより時代が少し古いのですが、でもどちらも良いお家の出身。
この辺りはきっとその頃から高級住宅地だったんですね。

なんて考えているうちに、作家のお家巡りをもっとしてみたくなってきました。
うふふ、楽しみです。

*クリスティーのブルー・プラークの場所：Cresswell Place SW10
*ポッターの記念碑：Old Brompton Road沿い、The Boltonのあたり（Old Brompton Road沿いの学校の塀に記念碑があります）

*ブルー・プラークについては、English Heritageのサイトでも見ることができます→こちらのページ♪

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