カテゴリ:イギリスの味( 43 )

また遊んできたお話になってしまいますが、今週はアフタヌーンティーのお教室に行ってきたので、そのお話をしたいと思います。

先生のご自宅で、アフタヌーンティーの準備の仕方を学ぶというこの教室。Giuliana's Kitchenという名のとおり、ジュリアナさんという明るい上品な先生が開かれています。

北ロンドンの高級住宅街のお宅に生徒さんが揃うと、まずはビクトリア時代の1860年代に建てられたというお家を拝見。天井が高く、ゆったりと優雅な気分になれる気持ちの良いお家で、内装も美しくビクトリア朝風にまとめられていました。ご家族のお写真もあちこちに飾られ、温かい雰囲気。

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お家を見せていただきながらうかがったお話で印象に残っているのは、居間をdrawing roomと呼ぶことがあって、絵を描く(draw)部屋だったと思われることが多いけれど、本当は、人を招いての夕食が終わった後、葉巻をくゆらせながら女性の話などをする男性陣を食卓に残して女性達は居間に立ち去るという意味で、立ち去る(withdraw)という言葉から来ているのよ、というものです。私はまさに優雅に絵を描いていたお部屋だと思っていたので、びっくりでした。

その後、ピンクのカーペットが敷かれた広いバスルームに続いて、先生の寝室まで見せてくださったのですが、天蓋つきのお姫さまベッドを中心に、淡いトーンの花柄とお好きだという明るいパープルで統一されたこれまたビクトリア朝風のすてきなお部屋でした。

e0114020_2392034.jpg気分がすっかりビクトリアンになったところで、窓から自然光の入る気持ちの良いキッチンに移動。ショートブレッド、スコーン、サンドイッチなどの作り方を学びました。自分で作ったものもあったし、先生の手際よいデモンストレーションを拝見したものもありました。サンドイッチなんて簡単じゃない、とお思いでしょうが、例えばスモークサーモンとパンを上手に一緒にロールするには、とか、薄いパンの扱い方といったちょっとしたコツをうかがったのです。

もともと日本人のお知り合いに英会話を教えていたことがきっかけでお教室を始められたそうで、今も生徒さんはほとんどが日本人なのだそうです。日本語も少しご存知で、「ざらざら」「さくさく」「もったいない」などという日本語を交えながらの楽しいレッスンでした。

さてお菓子もサンドイッチも作り終わったところで、先生が準備しておいてくださった他の焼き菓子も一緒に持って居間に移動し、いよいよ試食を兼ねたアフタヌーンティーです。

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スコーンはサンドイッチをいただき終わる頃に焼き始め、熱々のままテーブルへ。焼き上がったスコーンはすぐに清潔な布で巻いて、「大切な赤ちゃんの体を温めるように」しておくのがコツだとか。少しでも温かさを保ちながら、さらに乾燥させないようにするために、先生はレースのついた小さいパン用のクロスを使っていらっしゃいました。スペインで見つけたものだそうですが、グッドアイディア!しかもかわいらしい!(写真右の中ほどです)

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お茶の間、アフタヌーンティーにまつわるお話もいろいろ教えていただきました。19世紀初めの貴族たちは、軽い昼食の後は午後8時頃の夕食まで何も食べていなかったそうで、ある時、ある公爵夫人が「お腹が空いたから」と、お家で紅茶を飲みながらバターを塗ったパンやお菓子を食べたのがアフタヌーンティーの始まりだとか。夫人はこれがたいそうお気に召して、それからお友達をお家に招くようになり、招かれたお友達が持ち回りでお茶会を開くようになり・・・という感じで、上流階級の間で広まっていったそうです。

お料理の先生とはいえ、よくご存じだなぁと驚いていたら、実はもうすぐアフタヌーンティーの本を出版されるのだそうです。なーるほど。アフタヌーンティー研究家でもいらしたのでした。

レッスン中もお茶の間も、生徒の私達を明るく会話に誘ってくださって、まるでお友達とお話ししているかのようでした。イギリス人は一般に、世間話というか他愛のない会話をするのが本当に上手で、状況や親しさの度合いなどによってうまく質問を選んで気軽に話しかけてくれたり、冗談を交えて楽しく答えてくれたりします。イギリス生活もまだ日の浅い私は、世間話をする時はまだどきどきしてしまうのですが、お話し上手かつ楽しませ上手な先生の様子を拝見して、とても良い勉強になりました。考えてみると、楽しい会話もアフタヌーンティーの大切な要素ですものね。

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最後は、準備してくださっていた入れ物にお菓子を詰めてお持ち帰り。スコーンは乾かないように、クリームとジャムをはさんだサンドイッチ状態にして持ち帰るのがベスト、と教えていただきました。

とても楽しいレッスンだったので、今週会った人みんなにこのお話をしたところ、外国人のみなさん、興味津々でした。こういうお教室はあまりないのかしら。アメリカ人のおばさまなどは、早速申し込んでみるわ、とはりきっていました。

そして週末、早速ジュリアナ・レシピを復習してみた私。なかなかの成功だったので、さらに気を良くし、アフタヌーンティーへの興味をさらに深めているところです。伯爵夫人のように、お友達を招いてみようかしらん。

*今回のブログを最初にアップした際、drawing roomの説明の中で、男性陣が居間に移動するとお伝えしてしまったのですが、正しくは男性陣を食卓に残して女性達が居間に移動した、ということで、記事も修正しました。お詫びして訂正します。
by londonsmile | 2007-03-26 08:31 | イギリスの味 | Trackback | Comments(6)

Afternoon Tea

昨日は、日本のお友達とすてきなアフタヌーンティーに行ってきました。

アフタヌーンティーとは、3時ごろからお菓子をいただきながらゆったり過ごすいわゆる午後のお茶の時間です。夕食に明らかに差し支える程たくさんお菓子をいただくし、何しろ時間がかかるので、先日お話ししたイングリッシュブレックファースト同様、今の時代には、毎日アフタヌーンティーをしている人は、イギリス人でも少ないでしょう(上流階級の方々は別なのでしょうか)。とはいえ、ちょっとした家族やお友達の集まりなどの折には、ホテルなどでゆったりお茶を楽しんでいるのを見かけます。もちろん、観光客にも大人気です。

昨日は、インディー(夫・仮名)がイチオシだったThe Landmark Hotelに行ったのですが、ここでのアフタヌーンティーは天井が吹き抜けになっている明るく開放的なWinter Gardenでいただきます。

私達は、普通のアフタヌーンティーにシャンペンと生の苺がプラスされたThe Landmark Teaを注文。シャンペンを先にするか後にするかと聞かれたので、もちろん(?)「先に・・・」と答えた私達。「よく考えてみると、いろいろなお菓子をいただいた後にシャンペンというのも良かったかも・・・」「次回はそうしてみましょう」などと話していると、よく冷えたシャンペンとグラスにたくさん盛られた苺が登場。

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写真ではわかりにくいかもしれませんが、この苺、深さ5センチはあると思われる逆円錐型のグラスいっぱいに盛られていて、すごいボリュームなのです。後ろに置かれているのが苺にかける生クリームとお砂糖。最初はフレッシュな苺をそのままいただいていたのですが、少し生クリームをかけてみると、これが濃厚で苺のおいしさを引き立て、とってもおいしい!カロリーなんて気にしている場合ではありません。

それでも、苺だけでお腹がいっぱいになってしまいそうだったので、まだいただいている途中だったけれど、お茶とお菓子もお願いしました。

じゃじゃーん!

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これこれ、この3段のトレーがアフタヌーンティーの象徴です!一番上の段が焼きたてのスコーン。なんとご説明したらいいのでしょう?固めのケーキというか、柔らかめのビスケットというか、なんとも言えない食感の焼き菓子で、手前のトレーにあるクロッテッドクリームと苺のジャムをつけていただきます。その独特の食感ゆえに、いただいていると口の中の少し水分が足りない感じになるので、おいしい紅茶をほんとにかぶがぶいただきながら楽しむのです。

2段目の段はペストリー、写真では少し暗くなってしまいましたが、かわいらしいサイズのケーキです。このホテルではフランス風のお菓子でした。一番下の段はこれまたかわいいサイズのサンドイッチ。きゅうりのサンドイッチが基本らしいのですが、今回はスモークサーモンや卵などもありました。きゅうりのサンドイッチというと、ちょっとさびしい感じがするかもしれませんが、寒いイギリスでは夏野菜のきゅうりはその昔には貴重品だったので、高級食材としてアフタヌーンティーに登場しているのです。

乾きやすいサンドイッチから食べるのが良い、とか、温かいスコーンから食べるのが本当、などなど、諸説を聞いたことがありましたが、昨日は、アフタヌーンティーに備えて昼食も軽く済ませた私達。今回はサンドイッチからいただいてみました。う~ん、おいしい!

開放的なすてきな場所で、おいしいお茶とお菓子とシャンペンをゆっくり楽しみながら、お友達とのお話にも花が咲きました。

彼女は、もともとは妹のお友達だったのだけど、昨年暮れにロンドン近郊のウィンザー(ウィンザー城や名門イートン校のある美しい町です)に引っ越していらして以来、一緒にロンドン観光したり、お買い物したりして、仲良くしていただいている方。手芸もお料理も上手で、とってもエレガント、しかも活動的でお話もおもしろい、すてきなヤングミセスです。きっとこれからこのブログによく登場していただくことになるので、どうかみなさん、覚えてくださいね。

優雅な午後を過ごした私達。その後は、夕食の支度のためにあわただしく帰宅したけれど、また別の場所でも試してみましょうね、と今から楽しみにしているのです。
by londonsmile | 2007-02-23 05:31 | イギリスの味 | Trackback | Comments(4)

Full English Breakfast

イギリスの食事はおいしくない、と定評(?)がありますが、そうでもないんじゃないかなぁ、と私は思っています。確かにフランス料理や日本料理のように美しく盛り付けたりしないし、野菜を茹でればくたくたにしちゃうし、塩味も全くついていなかったり、たまにつきすぎていたり・・・。おっと、褒めなくちゃいけないのでした。それでも、おいしいものもあるのですよ!

イギリスを旅行されたことのある方は、ホテルの朝食メニューにFull English Breakfastと書かれているのをご覧になったことがあると思います。Breakfastというからには朝食なのですが、実は街中のカフェなどでは、一日中食べることができる人気のメニューです。イギリス料理全般の不人気に対し、朝食は、「イギリスでおいしいものを食べるには、朝食を三度食べることだ」などとも言われて、なかなか好評です。

内容はだいたい次のとおりです:
 ソーセージ
 ベーコン
 卵(目玉焼き、スクランブルなど、好みを聞いてくれる。たいてい2個)
 ベイクドビーンズ(大豆を甘めのトマトソースで煮たもの)
 焼いたマッシュルーム
 焼いたトマト(いずれもフライパンで焼いただけ)

これにトースト(バターとジャム・マーマレードつき)が付いて、紅茶かコーヒーと一緒にいただきます。

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これにはベーコンとマッシュルームはないけれど、だいたいこんな感じでしょうか。写真はWikipediaより。


なかなかのボリュームでしょう?しかもこれ、朝ご飯ですよ!現代では夕食がメインという食生活になったけれど、昔は活力の源として朝食が一番大切な食事とされており、朝にたくさん食べて、昼食、夕食、とだんだん量を減らしていったのだそうで、その名残りのようです。

これを朝からいただくと、本当にお腹いっぱいになってしまって、お昼ご飯はとても食べられないし、時間に追われがちな現代人にはあまり合理的じゃないですよね。でもイギリス人はきっとこの朝ご飯が好きだったのでしょうね。だから今でも1日中食べられる食事として残ったんじゃないかなぁと思うのです。

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先週、BBCのウェブサイトに、English Breakfastに関するおもしろい記事が掲載されました。なんと頭のてっぺんにこの朝食の絵を刺青した、というのです(写真はBBCの記事より)。この刺青アーティストは4年前にアイディアを思いつき、実現させてくれる人を探して、今回19歳の青年をボランティアとして見つけたのだとか。たぶん、彼らにとってはこの刺青も、「人と違うことをしたい」というだけのことなのでしょうが、そこで誰でも知っているEnglish Breakfastを選ぶところがなんともユーモラスで、イギリス人は親しみを覚えたようです。

青年のお母さんは、こんな刺青をした息子のことをかんかんに怒っているそうですが、髪の毛生えたら見えなくなっちゃうし、許してあげてほしい!こういうムダなことをするのが、なんともイギリス人らしい気がするのですが、このお話はまた後日に譲ることにします。

ちなみに、この写真では、手前の2つが目玉焼き、右上のつぶつぶがベイクドビーンズ、上のオレンジ色のものがソーセージ、左の黒いものがベーコン、真ん中に断面が見えている黒いソーセージ状のものは、オプションとしてたまに登場するblack pudding(豚の血のソーセージ)、そして両脇がナイフとフォークのようです。うーん、この絵だとあまりおいしそうに見えませんねぇ・・・。

我が家では、この数週間に、English Breakfastを週末のお昼か夜にいただく習慣がすっかり定着しました。最初に見た時は、「トマトをフライパンで焼くの?なんでー?」と思ったものでしたが、慣れてくると、なかなかおいしいのです。アツアツのトマトは、特に冬にはぴったり。日本にいた時には自宅ではあまり使わなかったマッシュルームも、焼くだけというシンプルな食べ方をするようになってから、もともとのお味がよくわかるようになって、大好きになりました。

これはある日曜日の我が家の食卓です。この日はグリルで脂を落としながら焼いたソーセージがメインで、卵とお豆は省略。パンも、この日買ったばかりの新鮮なベーグルに変更しました。

とてもシンプルで簡単なお料理です。たまにはお家でイギリス風の朝食、いかがですか?

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by londonsmile | 2007-02-13 22:45 | イギリスの味 | Trackback | Comments(6)

元気なイギリス人の夫と翻訳者の私のロンドン生活も12年目に入りました。20歳の時に好きになったイギリスは今も好き。住んでみてわかったイギリスのいろいろをお伝えします。


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