ちょっと休憩 ~ 紅茶が先か、ミルクが先か、それが問題だ!

旅行記が思いのほか長引いてしまっているので、今日はちょっと休憩して、リクエストいただいた紅茶のお話を。

イギリスといえば紅茶を思い浮かべる方も多いと思います。今はイギリスでもティーバッグでお茶をいれることが多くなり、またロンドンでは中国茶や日本茶の人気が高まっていて、「Sencha」「Bancha」なんていうお茶を出しているティールームもあるほどで、最近はイギリスのお茶文化も多様化しているようです。

それでも、紅茶を飲む時はほとんどの人がミルクを入れて飲むという習慣はあまり変わっていません。ここでミルクというのは牛乳のことで、コーヒーに入れるようなクリームのことでは決してありません。その牛乳も、温めてしまうと匂いが強くなって紅茶の香りを損ねるので、冷たいまま使います。沸騰したての熱いお湯でお茶をいれるので、冷たいミルクを入れても紅茶が冷める心配はないのです。

e0114020_063342.jpgそして紅茶をいれる時の大問題が、「紅茶が先か、ミルクが先か」です。これは永遠の課題のようなものらしく、イギリスでは今でもよく真剣に(?)議論されています。

興味があるので、私も機会があれば観察しようと思っている・・・のですが、イギリス人が紅茶をいれるところを見る機会がとても少ないのです。というのも、食事の後はたいていコーヒーか夜ならハーブティーが多いし、親戚やお友達のお家に遊びに行くと、好み(つまり濃いお茶がいいか薄目がいいのか、ミルクを入れるか入れないか、お砂糖を入れるか入れないかなど)を細かく聞いた上で、好みどおりにキッチンで作ってマグカップに入れて持ってきてくれることが多いのです。

思えば、アフタヌーンティーに出かけた時に周りのイギリス人を観察すればよかったのですが、目の前のおいしそうなスコーンやケーキに大興奮してしまい、見過ごしておりました・・・。よそのキッチンをのぞいた範囲では、なんとなく「ミルクが先」派が多かったような印象です。

ちなみにイギリス人のインディーは、「ミルクが先」派。彼によれば、「ミルクを先に入れておけば、紅茶を入れる量を間違えない(つまり紅茶を先に入れてしまうと、入れたい量のミルクがカップに入りきらなくなってしまうことがある)」ということですが、これは几帳面な彼が後付けした実用的な理由のような気がします。

イギリス人の間でもあれこれ議論されるくらいだし、紅茶を先に入れた方が科学的においしくなるのだと発表されたかと思うと、しばらくして全く逆のことが発表されたこともあったりして、「おいしい」という人それぞれの基準で決めるのは難しそう。マナーの世界には決まりがあるのでしょうか。

これについて、先日うかがったアフタヌーンティーのお教室で、おもしろいお話をうかがいました。最初に一言、「お好みの問題です!」ときっぱりとおっしゃった上で、ジュリアナ先生は、「ただ、歴史的には、紅茶を先に注ぐのは裕福な証拠だったので、上流階級の方が好んで紅茶を先に入れていたようです」と教えてくださったのです。

紅茶にはぐらぐらと煮え立った熱いお湯を使うので、昔はカップに注いだ時にひびが入ることがあったそうです。(ひびの入ったカップを実際に先生に見せていただきました)。ところが18世紀頃に強度の高いボーンチャイナ(牛の骨灰を混ぜた磁器)が発明されると、ひび割れを気にせず紅茶を先に入れることができるようになり、当時ボーンチャイナは貴重で高価だったことから、紅茶を先に入れる人=ボーンチャイナを持っている人=リッチ、という図式ができあがって、上流階級の人が好んで紅茶を先に入れたのだそうです。また、実際にそうすることができたんでしょうね。

ただそれがマナーとして定着したということはないようで、むしろ裕福なことを見せびらかすような「お上品な」習慣と見る方もいるそうです。

このブログとリンクしていただいているビジネス英語雑記帳(ビジネス英語だけでなく、例えば英語のフォーマルとインフォーマルの違いや、間違いやすい「英語の落とし穴」の話もあって大変勉強になる超おすすめブログです!)の博識な日向清人さんがおっしゃっていたのですが、以前にイギリスで紅茶が先かミルクが先か、という大議論が持ち上がった際、エリザベス女王は紅茶が先、ということがわかり、そこでミルク派が萎えてしまったのだとか。女王様は上流中の上流でしょうから、やはり紅茶が先なのでしょうか。

さらにジュリアナ先生によれば、「紅茶を先に入れると、紅茶のしぶがカップにつきやすいのよ」とのこと。こういう実用的な理由があると、私としては女王様派よりも庶民派に心が動きます。女王様はきっとご自分ではカップをお洗いにならないでしょうしね。

う~ん、今日これを書いていて、この問題にますます興味をひかれました。もう少し周りを観察したり、専門店でもお話を聞いたりしてみて、新しい発見があったらまたご報告したいと思います。

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(写真は湖水地方の入り口、Kendalのティールームでのアフタヌーンティーの一部。インディーが「これまでの人生の中で一番心地良かったアフタヌーンティー」と言うこのお店、あと2回続く予定の旅行記でご紹介します。もう少しおつきあいくださいね!)
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Commented by lovely_morning at 2007-04-21 02:33
私は以前、ミルクが先とお聞きした気がします。
うーん、どっちなのでしょうね。
きっと、「お好みの問題」なのでしょうが♪
上流階級の方は「ミルクはほんのちょっと」が基本とか。ホントかな~?
アフタヌーンティ、イギリスで暮らしていても非日常ですね~(笑)。
Commented by londonsmile at 2007-04-21 02:41
やっぱりミルクが先という人が多数派なのかしら。ほんと、わからないものですよね。これからは周りを厳しくチェックします(笑)。
最初はお腹が空いて始まったとはいえ、今の時代にはまさに「非日常」ですよね。個人的には大好きなのですが、1日の食生活にあまりに大きく影響しちゃいますしね!
by londonsmile | 2007-04-20 23:58 | イギリスの味 | Trackback | Comments(2)

londonsmile、ロンスマことラッシャー貴子です。翻訳をしています。元気な英国人夫とのロンドン生活も早いもので12年目。20歳の時に好きになったイギリスが今も大好き。英国内旅行や日々のいろいろを綴っています。お仕事の依頼やご連絡は、非公開コメントでお願いします。


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