日本の思い出2018:新宿区立漱石山房記念館

新年が明けてから寒さの続くロンドンです。
まだお正月の休暇に出ていた人たちも今週末にはほとんど帰ってきて、すっかり日常に戻っています。

今回から少しの間、年末まで帰っていた日本の話をさせてください。忘れないうちに!

今日はまず新宿区立漱石山房記念館に行ったお話。
私が大好きな文豪、夏目漱石を記念した博物館です。

イギリスに引っ越してくる前に住んでいた場所に近いので、一時帰国する度に工事をしているのをずっと見ていました。
そして今年9月にいよいよ開館したと聞いて、今回の訪問を楽しみにしていたのです。

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もともとこの場所には、漱石が暮らし、数々の名作を書いた漱石山房があり、亡くなったのもこの場所でした。

家の跡地には区営住宅が建っており、隣りには漱石公園という小さな公園があるだけだったのですが、住宅の老朽化で移転することになり、漱石の生誕150年の2017年に新宿区立の記念館ができました。

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館内は写真撮影禁止だったので、外側からそっと失礼した写真を載せてみます。
全体の建物自体はとてもモダンで、大きな窓からたっぷり日光の入る気持ちの良いブックカフェもあります。
カフェには漱石の全集や著書、関連の書籍がたくさん並んでいて、自由に閲覧することもができるんですよ。
お茶を飲みながら本のページをめくることができるので、リラックスできる気持ちのよい空間でした。

建物に入るとすぐ、漱石先生が出迎えてくれます。
等身大ということだったので、一緒に記念撮影していただきました。

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嬉しくてニヤけております。笑
この時点で館内写真撮影禁止ということを知らなかったので撮っちゃいましたが、すぐ横に立っていた警備員さんも何も言わなかったので、入口あたりなら大丈夫なようです。

明治の時代には男性の平均身長は150センチぐらいだったそうで、漱石も160センチなかったとのこと。
こうして並んでも158センチの私とほぼ同じですね。
よく見たらワタクシ、なれなれしくも漱石先生のジャケットの端をつかんでおります。笑

この記念館はもともと漱石が住んでいた家があったとお話ししましたが、記念館では当時の家をできる限り再現していて、外からでも玄関が見えます。

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玄関の位置も実際とほぼ同じだそう。
その横(室内)に白いフェンスのようなものがあるのですが、この写真では見づらいでしょうか。
これは山房に実際にあったベランダなんです。
漱石公園にあった写真を拝借すると、こんな感じ。

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ここは漱石が建てた家ではなく、アメリカ帰りの人が明治30年(1897年)ごろに建てた和洋折衷の建物だったそうです。
当時は珍しかったでしょうね。
上の写真に写っている南国風な芭蕉の木も実際にこの場所に植わっていたそうで、記念館では本当にできる限り忠実に漱石山房を再現しようとしていることがよくわかります。

記念館の外に植えられている他の植物も、山房にゆかりのあるものばかりだそう。
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これはザクロ。
こんな風に口がパッカリ開いている実は初めて見ました!

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棗(ナツメ)。
綺麗な色ですね。これもここに植わっていたようです。

いよいよ建物の中に入ると、再現された漱石山房の建物がモダンな建物の中にすっぽり収められているのがわかります。
瓦の屋根もしっかりあって、2階から見ることができるんですよ。

最初の写真で漱石の背景に写っている書斎は、横浜にある神奈川近代文学館にある漱石の書斎をそのまま完全に再現したものだそう。
説明してくださったボランティアの方のお話では、その再現方法も、この絵の大きさと比較すると壁紙(これも当時は珍しかったそう)の模様の大きさはこのくらい、という風に、緻密に行われたそうです。

書斎の前には、門下生だった芥川龍之介や寺田寅彦や内田百聞などが集まっていたスペースが空けてあり、漱石と門下生たちが会話する様子を頭の中でたっぷり想像できます。
他にももちろん漱石の一生(ビデオもありました)や作品についての展示も多数ありました。

2階に上がると、手書きの推敲の跡が見られる小説の草稿や貴重な初版本、多数の手紙、漱石の手による掛け軸や奥さんの着物などがずらりと展示されています。
数ある名作や手紙の中から選りすぐった名言を引用したパネルもあり、一つ一つ見入ってしまいました。
どの引用も今読んでも全然古くなっておらず、すばらしいのですが、私がいちばん感激したのは留学中に奥さんに書いた「おれのような不人情な者でもしきりに御前が恋しい」という手紙。
これまでに少し得ていた漱石の知識から、奥さんには怖い人だったと思い込んでいたので、漱石もやはり人間なんだなとますます親しみを覚えてしまいました。

私は何かイヤなことがあった日は、今も『我輩は猫である』を読んでから寝るんです。
あれ以上のんきに笑わせてくれる小説にまだ出会っていないので、これを読むと重い気持ちが明るくなるからです。
だから『猫』はよく読んでいるのですが、この記念館に行って、他の作品も久しぶりに読み返してみたくなりました。


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(記念館の窓から漱石公園方面を望んで。
漱石といえば、やはり猫。あちこちに登場していました)

漱石は新宿区で生まれてこの地(新宿区)で亡くなったということで、展示の中にはこの周辺と漱石との関係を示す地図もありました。
今も残る「喜久井町」「夏目坂」という名前は、この辺りの名主だった漱石のお父さんがつけた名前なのだそうです。

この日は気づかなかったのですが、実はこの記念館には地下もあるのでした。
ちゃんと日光が入るようになっているので明るい地下室には、漱石に関する書籍が3,500冊ほど置かれている図書室があり、漱石クイズも用意されているそう。
次はぜひ行ってみなければ。

いろいろ見て回った後は、CAFE SOSEKIでぜひお茶を。
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漱石の小説にも出てくる空也の最中は、都内でも本店とここでしか手に入らないそうです。
平日のお昼過ぎに行ったのですが、これがもう最後のひとつでしたよ!
小さいながら中に求肥が入って食べ応えのある最中、コーヒーやほうじ茶と合わせてぜひ。
この日はお天気がよかったので、ガラス張りの店内は最高に気持ちがよかったです。

ミュージアムショップも小さいながらなかなかニクい品揃え。

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切手好きの父のために妹が買った記念切手。
これはなかなか貴重そうです。

しおり好きな私はカフェにあったこれを。
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猫のこの目がたまりません!

記念館を出ると裏手は今も漱石公園になっています。
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青空に柿の紅葉が映えて美しかった!(11月末の写真です)
この日は時間切れになってしまったので公園を見るのは駆け足になっちゃいましたが、この小さな建物の中にも展示があり、日陰の方には猫塚もありました。
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予想以上に見ごたえがあって、じっくり見入ってしまった漱石山房記念館、実は公共の施設なので入館料は300円というお手ごろ価格。
漱石好きの方も、そうでもないけどおいしそうな最中が気になる方も、ぜひお出かけを。

ちなみにこのエリア、私が引っ越してしまってから文化度がどんどん高くなっていて、この記念館の近くに草間彌生美術館もできていました。
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予約定員制のこの美術館、大人気で現在何ヶ月待ちという状態だとか!

個人的にはモダンな草間さんより明治のモダン男の漱石が好みです。笑
住宅街にぽつんと建っている記念館、大文豪の日常が想像できて、ほんとにオススメですよ。

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Commented by Yukko at 2018-01-11 08:19 x
素敵なツーショット♡
漱石先生、数多くの文化人の中でもイケメンですよね(≧∀≦)

今日のブログで気づいたことが…
昨年、母と東京へ行ったときに、新宿歴史博物館を訪れたんですが、そのとき、
「漱石と子規」の特別展をしていて、
松山、坊ちゃんつながりの2人コラボはわかりますが、なぜこの新宿で?って不思議でした。
漱石の家があったんですね。
しかも、記念館も出来ていたなんてー。
惜しかったなあ。
あ、でも予約制ならダメでしたね(笑)
漱石公園も知りませんでした。
また文学ツアーでもしたいです(^○^)
Commented by londonsmile at 2018-01-11 19:00
*Yukkoさん*
本当にかっこいいですよね、漱石先生! 実は以前に新潮文庫のプレゼントで漱石の顔がフェイスになっている腕時計をゲットして大切に持っています。笑

新宿歴史博物館! そういうところがあるんですね。初めて知りました。漱石と子規展、面白そうですね。漱石記念館にも子規の手紙などが展示してありましたよ。

情報が多すぎたかもしれませんが、予約制なのは草間彌生さんの方で、漱石記念館自体はいつでも入場できるんですよ。またお近くにいらっしゃる機会がありましたら是非!
by londonsmile | 2018-01-09 01:18 | 日本に里帰り&国内旅行 | Trackback | Comments(2)

londonsmile、ロンスマことラッシャー貴子です。翻訳をしています。元気な英国人夫とのロンドン生活も早いもので12年目。20歳の時に好きになったイギリスが今も大好き。英国内旅行や日々のいろいろを綴っています。お仕事の依頼やご連絡は、非公開コメントでお願いします。


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