北イングランドの英国ガーデンをめぐる旅その20 ケイパビリティ・ブラウンの伝統的な庭と新しい試みが混じり合うヘアウッド・ハウスのお庭(ヨークシャー州)

前回はヨークシャー州のヘアウッド・ハウス豪華なお屋敷を見学したお話をしました。
エリザベス女王のおばさまが嫁がれたヘアウッド伯爵家が所有しているお屋敷で、ヴィクトリア女王を描いたテレビドラマも撮影されたんでしたね。

今回は、いよいよそのお庭に出てみましょう。
広大な敷地には、歴史ある部分と新しい試みが詰まっていましたよ。

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前回にも少しお話ししたテラス。
これはビクトリア時代に追加されたもので、ビッグベンなどで知られるイギリスの国会議事堂も設計したチャールズ・バリーの作品。
本当に一流の建築家が関わっているお屋敷でしょう?

そのテラスの向こうに広がる広大な森に見えるガーデンは、われらがケイパビリティ・ブラウンの手によるものです。

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ブラウンは、例えば目を引くために大きな木を所々に配置した上で、小さめの木をまとめて植えて形を作るというように、絵を描くように木を植えていったそうです。
植物の配置や景観にこだわるあまり、チャッツワース・ハウスでは村ごと移動させてしまったという話を聞きましたよね。

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この景色、ブラウンの目には絵のキャンバスのように映っていたのでしょうか。
彼が植えたままの位置に残っている木も多いそうです。

レイクサイド・ガーデンは、その名のとおり、湖を中心としたお庭で、これもブラウンの作品。

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とにかく大きな湖! 見ているだけで気持ちが大きくなります。
秋の紅葉は本当に見事だそうですよ。

ヘアウッド・ハウスでは、お庭は個別に自由に散策させていただけることになったので、向こう岸にどうやってたどり着けばいいのか、おおいに迷いました。笑
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結局、見るものがあまりにたくさんあったので、私は向こう岸に行かずじまいだったのですが、湖に浮かんだこのボートに乗ると、レイクサイド・ガーデンも近くでよく見学できると後で知りました。
ちなみにボートの名前はケイパビリティ。笑

この船着場は新しいものですが、船遊び自体はブラウンの時代から楽しまれていたようです。
現在、ボートは週末や休日を中心として、限られた日だけの運行なので、事前に確認してくださいね。

レイクサイドを中心として、ヘアウッド・ハウスのお庭には100種類以上のシャクナゲが植えられています。

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ヘアウッド伯爵家では、代々シャクナゲを大切にして、それぞれの代の家族が新しい木を足しているのだそう。
中には18世紀のお屋敷建設当時から残るものもあるようですよ。

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シャクナゲは咲いてもよし、散っても見応えあり♪

ちなみに、このお屋敷を建てたエドウィン・ラッセルズは、まだ若かったターナーにこの屋敷の絵を描かせています。

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そう、あのイギリスが誇る画家のターナーです。
ここでもまた一流の名前が!笑

ヘアウッド・ハウスのお庭には、美しい伝統的なガーデンだけでなく、新しい試みとして珍しい動植物との出会いがありました。

まずは動物編。
農場を体験しよう(Farm Experience)として、いろいろな動物と触れ合えるようになっています。

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お庭に出てまず目に止まるのがリャマやヤギ。
この日は動物はあまり出ていなかったのですが、ウサギなどの小動物と触れ合うことができるそうです。

隣り合うバードランドは、珍しい鳥たちがたくさん集められているところ。

水鳥を中心に草の上を自由に歩き回っていたし、飛んで行ってしまわないように一応オリに入っている鳥たちも、かなり広いスペースが与えられて、自由に飛び回っていました。
うまく写真に撮れなかったのですが、カラフルなインコや飄々としたフクロウなど、様々な鳥がいましたよ。

そして、びっくりするのがこの鳥!
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えー、フラミンゴ!?
そうなんです。
フラミンゴといえば南アメリカやアフリカなど、暖かいところに多い印象ですが、こんな北国でも元気に生きているんですねぇ!

そしてこれまた驚くのがこちら。

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ペンギン!
しかもきれいなプールも♪
手前からは、ガラス越しにペンギンが泳ぐ様子を見ることもできるんですよ。

もうこうなると立派な動物園です。
お子さんと一緒でも本当にたっぷり遊べますね。

かわいい動物たちと触れ合った後は、植物も楽しみましょう。
広い広いお庭の中を歩いて、別の場所に移動してみます。

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お庭のいたるところにシャクナゲが♪
もちろんその年によりますが、5月下旬から6月中旬ぐらいに訪れると、たっぷり楽しめるそうです。

が、きれいなお花を眺めながら歩いていたら、なんと私は自分がどこにいるのか、わからなくなりました。汗
あちこちに地図が設置されているのですが、なぜか私が迷子になった場所の近くには見当たらず、困った!

とにかく人がいるところか、地図がある場所を見つけようと汗をかきながら早足で歩いていると、向こうからツアーリーダーのスティーブが彼らしい人の良さそうなスマイルを浮かべて歩いてきました。
さすがリーダー、頼りになる!

「よかったー。迷子になってたの」と話しかけると彼は大笑い。
「山の中じゃないんだから大丈夫だよ。心配性だな」

はい、意外に心配性です。笑

さらに彼は、「ヒマラヤの庭(Himarayam Garden)に行ってみた? 絶対行った方がいいよ、すごいよ」と教えてくれたのでした。
わー、ありがとう。

という訳で、私もすぐにヒマラヤの庭を目指しました。
ヒマラヤの庭は、ヘアウッド伯爵家に嫁がれたメアリー王女(今のエリザベス女王のおばさまでしたね!)の代に作られたその名のとおりヒマラヤをイメージしたお庭です。

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わー、しっとりした植物が多くて、確かにアジアっぽい。
途中で中国人ジャーナリストのトムとも出会って、アジア人2人でアジアの庭を散策。笑

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お、私は昨年からすでにシダの美しさが気になっていたんですね。

ここにはシャクナゲもありますが、他にも可憐な高山植物がいろいろ。

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ちなみにシャクナゲはネパールの山の中でもずいぶん見られて、ネパールの国花になっているほどなんです。
(ネパールの雪山でもシャクナゲを見ました! よろしければ、その時のことはこちらをどうぞ)

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高山植物って小さいながらも可憐でかわいらしいですよね。
ちょうどこの時期は、濃いピンクのお花が多くて、緑に映えて本当に美しかったです。

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こんな初夏らしいものも。
これは葉っぱはギボウシのようですが、あまり見たことのないお花だなあ。
やはりギボウシの一種でしょうか。
雨に濡れた葉が清々しいですね。

ガーデンの中に高低もつけられていて、本当に山の中を歩いているようで楽しいんですよ。

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ここはまさにお花畑のよう。

あ、滝が見えてきましたよ。

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この滝は、先ほどの湖から降りてくる水だそうです。
テーマ別のお庭にはなっているものの、やはりお庭全体がつながっているんですね。

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この橋、渡ってみたいけど、ちょっとドキドキする。笑
結局、幸か不幸か、集合時間が迫ってきたので、渡るのは断念しました。

こっちにも橋がありますよ。

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ヒマラヤの庭に行ったら、ぜひ見逃さないでほしい珍しいものがある、とガイドさんに言われていたものがありました。
それは、これ。

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可憐に咲いている高山植物の中で、ひときわ目立つ青い花。
ポピーなんです。

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高山植物の中でも青いポピーはとても珍しいと言われていますが、実は私は北インドでヒマラヤの山を登った時に遭遇したのです。
そこでも「とても珍しい」とガイドさんに聞いたのですが、まさかイギリスで再会できるとは!

調べてみると細かい分類があるようで、検索すると似たようなお花がたくさん出てきます。
私の知識ではどこがどこまで「幻の青いポピー」に属するのか、判断がつきかねました。
でも一般に青いポピー自体は日本でも北海道や山岳地帯には見られるようですし、ヨーロッパでは意外に気候が合っていて生息しやすいのだそうです。

そして私としては、インディーさんが喜びそうなおみやげ話ができて嬉しかったのでした。笑
(ご興味があったら、ヒマラヤで見た珍しい高山植物などの話はこちらをクリックしてくださいね)

ヒマラヤの庭では、植えられた植物の見た目はもちろん、その種類の生態のせいなのか、イギリスにしては全体にしっとりと湿度が高く、本当にヒマラヤの山の中を歩いているような感覚になりました。
青いポピーやその他のアジアの高山植物たちは、イギリスにいながらエキゾチックな気分にさせてくれます。

ヘアウッド・ハウスのお庭は、自由行動で一人で歩いたせいか、他のお庭に比べてのんびりゆったり感じられました。
平日とはいえ、他の人にほとんど会わないというのも驚きです。

次に行く時は、ぜひレイクの向こう側をもっと歩いてみたいなあ。
ピクニック用のお弁当を持って♪

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by londonsmile | 2017-06-19 23:55 | Visit Britain | Trackback | Comments(0)

londonsmile、ロンスマことラッシャー貴子です。翻訳をしています。元気な英国人夫とのロンドン生活も早いもので17年目。20歳の時に好きになったイギリスが今も大好き。英国内旅行や日々のいろいろを綴っています。お仕事の依頼や写真掲載のご連絡は非公開コメントでお願いします。無断掲載はご遠慮ください。


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