北イングランドの英国ガーデンをめぐる旅その14 はじまりはライバル心!? ウェントワース・カースル・ガーデンズ(ヨークシャー州)

北イングランドの英国ガーデンをめぐる旅、絢爛豪華なチャッツワース・ハウスのお庭とお屋敷を後にして、午後はヨークシャーにあるウェントワース・カースル・ガーデンズ(Wentworth Castle Gardens)に向かいました。

ちなみにカースルは英語ではcastleで、キャッスルという読み方が知られていると思いますが、イギリス英語の発音では「カースル」。
なので、ここでもイギリス式にカースルで統一しますね。

朝から降ったり止んだり忙しいお天気ですが、午後はどうかしら、というのが移動バスの中でのもっぱらの話題。笑
結局、絶好の撮影日和というほどにはなりませんでしたが、大して濡れずに見学することができました。
さて、どんなお庭だったのでしょうか。
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(写真はビクトリア時代に作られた温室に咲く花。
メモを取りそこねたようですが、サボテンの一種でしょうか)


ウェントワース・カースル・ガーデンズは18世紀に作られた建物が母体になっています。
こういうお庭やお屋敷は、貴族や裕福な家庭のお家として建てられますが、ここにはちょっと変わった歴史がありました。

11キロほど離れた同じヨークシャーの別の場所に、ウェントワース・ウッドハウス(Wentworth Woodhouse)というカントリーハウスがもともとありました。
ここを所有していた伯爵が17世紀の終わりに亡くなった時、家を継ぐ男子がいなかったので、お屋敷と資産を相続できると思っていたのがトーマス・ウェントワースという人。
ところが、思いがけず従兄弟が相続することになってしまいました。

トーマス・ウェントワースはその後、仕事のキャリアを積んで、外交官として国王に仕えるようになりましたが、爵位も欲しかったのです。
相続できなかったことも忘れられなかった彼は、10年以上経ってから、現在のウェントワース・カースルの地にあったカントリーハウスを買取り、時のアン女王に爵位をもらい、やっと思いを果たしたのでした。
ちょっとした家族の愛憎劇ですが、そこで憎んで殺したりせず、自力で爵位まで受けたというのがクリーンでよろしい。笑

外交官として海外の事情に詳しかったウェントワースは、すでにあったお屋敷にヨーロッパ風のバロック式の増築をしたそうです。
そして、それが現在のこの姿。

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お天気悪くてスミマセン。汗
この時が一番空が暗かったと思います。

お屋敷は戦後に売却されて、教師養成学校になったそうです。
ちなみにお庭も今ではご家族の持ち物ではなく、保護団体が引き継いで運営しています。
長い間、手入れがされていなかったので痛みがはげしかったものの、2005年に大規模な修繕工事を始め、一般に開放されるようになったのは2007年のこと。
誰でも見学できるお庭としては新しい方ですね。

建物の前にはフォーマルでかっちりした形のお庭が広がっているのですが、スケールが大き過ぎて、デザインまでは写真に収まりませんでした。残念!
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このお屋敷、高台に建っているので、ここから地元の緑地を一望することができます。
お庭も広大ですが、その周りの景色の美しいこと!

このお庭で有名なのが、シャクナゲや椿など、エキゾチックな植物のコレクション。
日本人の私たちからすると、特にエキゾチックではありませんが(笑)ヨーロッパの人たちには東洋の植物は当時は特に珍しかったので、高価でもあっただろうし、珍重されていました。

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ツアーの時期は6月だったので、椿はほとんど終わっていて、代わりにシャクナゲが花盛り。
どこを向いても色とりどりの花を楽しむことができました。
イギリスに住んでいると、シャクナゲを見る機会が日本にいるより多い気がします。
日本ではツツジの方が人気が高いからでしょうか。

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ウェントワース・カースルのお庭を歩いていると、芝生がきれいに敷かれた広い道があちこちに広がっています。
広場がそのまま道になっている、というほど広くて、まるでゴルフ場を歩いているような気分になりました。
しかも周りには美しい花々。

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景色をあれこれ楽しみながら歩いていると、今度は建物の裏の方に、きれいな温室が見えてきました。

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これはビクトリア時代に作られたもので、アイアンワークや床のタイルなどの装飾も美しかったです。

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外が寒くても、ここならずっと植物を身近に感じられますね。
冬でも緑が楽しめるって、当時はきっとかなり贅沢なことだったと思います。
中に入ると一気に気温が上がるのを感じます。
この日も、6月とはいえ、冷たい雨の降るお庭から温室に入ってきた時には、ホッとしました。

五大陸の植物が揃っているそうで、どこか装飾もトロピカルな雰囲気。

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頭の上に乗せているのは日時計ですね。
凝り具合がビクトリア時代らしい。

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暖かくて心地いい温室を出るのは名残惜しいのですが、お庭の散策を続けましょう。

ウェントワースにも並木道がありました。

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ここはレディー・ルーシーの散歩道(Lady Lucy's Walk)と呼ばれています。
ひらひらしたドレスを着た女の人たちが、おしゃべりしながら歩いているのが目に浮かぶ名前ですね。
なんだか映画のようで、しばし見とれてしまいました。

そして、とても凝ったお庭もあったのです。

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この生垣の部分、上から見ると実はユニオンジャックの模様になっているんです。
スケールが大きすぎて、中心部しか写せなかったのですが(汗)、この木を中心に、手前にあるような道が放射状に伸びています。
私の写真には収まりませんでしたが、後でご紹介する動画には、このユニオンジャック模様がしっかり確認できますので、お楽しみに♪

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からまっているのが根なのか、枝なのか、よくわからない歴史のありそうな木。
なんとなくロマンチックですね。

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広い道を歩いていると、向こうに何か見えてきましたよ。 

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先ほどのウェントワースさんが高台に作った「ステインボロー城(Stainborough Caslte)」。
ステインボローというのは、彼がここを買う前についていたこのお屋敷の名前で、そこに中世のお城を模した建物を作り、それ以来この土地全体をウェントワース・カースルと呼ぶようになったそうです。

ちなみに敷地内にお城を作ったというのも、ウェントワースさんの従兄弟へのライバル心からというのだから驚きです。
最初のお屋敷を相続できなかった時、よほど傷ついたんでしょうね。

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塔には途中まで登れるようになっていました。
そこから見ると、さっきのゴルフ場のような道もわかりやしでしょうか。

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傷つき、従兄弟たちをライバル視して、お屋敷の拡大に励んだウェントワースさんを思いながら、お城を歩きました。

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お城の裏手には、ヨークシャーののどかな牧草地が広がっていました。
きっと18世紀の頃から、あまり変わらない景色でしょうね。

ウェントワース・カースルは、今回の旅の目的であるケイパビリティー・ブラウンが活躍した時期よりほんの少し前に作られたもの。
この後、ブラウンなどの影響でキッチリした形のお庭から見た目も自然なお庭に変わっていったのですが、その前の形を見ることができて興味深かったです。

でもウェントワースで一番印象に残ったのは、初代ウェントワースさんのライバル心かな。笑
貴族もお金持ちもやはり人間だというエピソード、時間が経った21世紀の私には微笑ましく思えました。

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ウェントワースには、シャクナゲ以外のお花もたくさん咲いていました。
折からの雨できれいに洗われ、どれもいきいきして見えたのがとても心に残っています。

この日は雨模様でしたが、晴れた美しい日に撮影された動画がありますので、どうぞお楽しみください。
私の写真では写りきらなかったユニオンジャック模様のお庭や、お屋敷前のフォーマルなお庭、この日は周りきれなかったその他の場所や、さらにはパークの部分に住んでいる野生の鹿の様子までご覧になれますよ。






この美しいウェントワース・カースル、団体としては規模がまだ小さいせいか、スタッフの人たちもとてもフレンドリーでした。

2017年は2月18日から26日まで毎日オープンしていますが、その後イースターまでは週末のみのオープンだそう。
お出かけの前にサイトでご確認くださいね。

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(追記:最初の記事には紛らわしい表現があったので、ご指摘により一部書き直しました)


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Commented by N at 2017-03-06 03:28 x
> ここを所有していた伯爵が17世紀の終わりに亡くなった時、家を継ぐ子どもがいなかったので、お屋敷と爵位を相続できると思っていたのがトーマス・ウェントワースという人。

ストラフォード伯爵位は彼の大伯父(祖父の兄)が授けられたもので、
その直系の男系男子にしか継承権がないので、爵位の方はもともと
消滅する運命にありました。お屋敷は期待していたでしょうけど。

> ところが、思いがけず従兄弟が相続することになってしまいました。

祖父の兄の娘の息子なので、再従兄(はとこ)になります。

> トーマス・ウェントワースはその後、仕事のキャリアを積んで、外交官として国王に仕えるようになりましたが、爵位はありません。

大伯父が授けられた爵位の中に、継承者がいなくなったら弟たちの
直系男系男子が継承できる、という特例つきのものがあったので、
これだけ継承して3代ラビー男爵になっています。また、曾祖父が
授けられた准男爵位も継承していています。23歳の時。

> 相続できなかったことも忘れられなかった彼は、10年以上経ってから、現在のウェントワース・カースルの地にあったカントリーハウスを買取り、時のアン女王に爵位をもらい、やっと思いを果たしたのでした。

39歳の時に消滅してしまったストラフォード伯爵位を授けられて、
和風に言えばお家再興ですね。ちなみに同時に授けられたウェント
ワース子爵位の方は、Letters Patentに

Viscount Wentworth, of Wentworth Woodhouse and of Stainborough
in the County of York

とあるそうで、とても執念深いです(笑)
Commented by londonsmile at 2017-03-06 18:53
*Nさん*
ご指摘ありがとうございました。お詳しいんですね! 専門のお勉強をなさっているのでしょうか。
私は当日に聞いたお話とWentworth Castle Gardensのサイトを元に書いたのですが、どこかで誤解があったかもしれません。
ちなみにサイトでは特に以下にリンクを貼った記事を参照しました。爵位の件は書き方が紛らわしかったでしょうか。爵位がないので、その後受けたのが嬉しかったという意味だったのですが。
相続できると思っていたのは確かにお屋敷と資産と書いてあるので、そちらは直しますね。
大きなお屋敷をめぐるドラマ、興味深いですよね。ご指摘ありがとうございました。

http://www.wentworthcastle.org/history-restoration/
by londonsmile | 2017-02-20 17:39 | Visit Britain | Trackback | Comments(2)

元気なイギリス人の夫と翻訳者の私のロンドン生活も12年目に入りました。20歳の時に好きになったイギリスは今も好き。住んでみてわかったイギリスのいろいろをお伝えします。


by londonsmile